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成年年齢引き下げに際し、AV出演年齢の自主規制をする意義とジレンマ

第三者機関のAV人権倫理機構は、少女を救うルールを業界側に通達している

河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

少女を救いたいがためのジレンマ

 10代の少女の安全という、より広い視野で見てみることが、本当の問題を理解するうえで欠かせない。少女が初めて家出するのは中学生、12歳か13歳あたりで、最も家出少女の数が多いのは15歳、16歳であろう。彼女たちが歌舞伎町のような夜の繁華街を歩いていると、様々な悪い誘いがかかる。スカウトなどと言われる者は、このような少女たちを、様々な「働き口」に売り飛ばすというか斡旋(あっせん)するというかして稼ぐ。そのさいに18歳、19歳ならば、風俗店で働くことができるので、そこに紹介し、容姿などをみてAVもあり得る。

 後で詳しく述べるが、大手の合法AVメーカーは、現在は、おしなべて20歳の誕生日までデビューさせない。プロダクションは、売れそうな子だと判断すると、自社に登録し、20歳になるまで、一般のモデルなどAVでない仕事を紹介しながら待つことが通常である。

「パパ活」拡大「パパ活」の待ち合わせ場所に現れ、補導される少女(中央)=2018年9月10日、大阪市中央区

 それでは、18歳になってない少女はどうなるのか。

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筆者

河合幹雄

河合幹雄(かわい・みきお) 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

1960年、奈良県生まれ。京都大大学院法学研究科で法社会学専攻、博士後期課程認定修了。京都大学法学部助手をへて桐蔭横浜大学へ。法務省矯正局における「矯正処遇に関する政策研究会」委員、警察大学校嘱託教官(特別捜査幹部研修教官)。著書に『安全神話崩壊のパラドックス 治安の法社会学』『日本の殺人』『終身刑の死角』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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