ベラルーシ滞在日記を残しておきたい
[3月16日]ミンスク、聖シモン・聖エレーナ教会、街録、独立宮殿……
金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター
ウクライナ→東京→ベラルーシの移動で考えたこと
ルカシェンコ大統領は「戦争」と言った
3月16日(水) ベラルーシのミンスクに入って2日目。朝7時にホテルの朝食会場に行くとそこは、戦争が起きている国の隣国とは到底思えない、まるで別世界だった。すぐ国境をまたいだ「兄弟国」がこうむっている状況とのパラレルワールド。時間がない。とにかく今日できることをテキパキと取材しなければならない。
一昨日の夜(モスクワ時間)、ロシア国営テレビで定時ニュースの生放送中のスタジオに、編集者の女性(マリーナ・オフシャニコワさん)が「NO WAR」のプラカードを掲げながら、画面に映るように突如フレームインしてくるというハプニングがあったことが話題になっている。国営テレビのスタジオ内での直接行動だ。ある意味で体を張った命がけの行動だ。

ニュースの放映中、「NO WAR」と書いた紙を掲げたマリーナ・オフシャニコワさん(右)=BBC NEWS JPANより
ロシア国内のこうした、おそらく圧倒的少数派の人々の動きを注視しなければならない。ソ連崩壊時のゴステレ(ソ連国営テレビ/テレビラジオ放送委員会)のニュースキャスター、タチアナ・ミトコーバのことを思い出したが、彼女はその後、芳しくない転身を遂げたという話を後日聞いたことがある。

聖シモン・聖エレーナ教会=撮影・筆者
午前8時にホテルを出る。Pさんが立ち会ってくれる。このPさんが尽力してくれたお陰でどれだけ助かっていることか。
まずは聖シモン・聖エレーナ教会。もともとカトリック系の教会。レンガ造りの趣のある教会だ。1910年に造られたという。この教会の敷地内に広島、長崎、福島の土がカプセルに入れられて埋められている。また長崎の浦上天主堂から送られた鐘もあった。チェルノブイリ原発の大事故後に世界に広がった反核の動きの一環として、ここに日本から土が運ばれたのだという。
この教会、2020年の大統領選挙後、ルカシェンコの不正に抗議する大規模市民デモの際には、参加者たちが警官たちから逃れる「駆け込み寺」にもなっていたという。

この教会に広島・長崎・福島の土が埋められている=撮影・筆者

長崎の浦上天主堂より寄贈された鐘=撮影・筆者
真向かいがミンスク市庁舎、横に国会議事堂を含むベラルーシ政府の大きな建物があって、何とその前にレーニン像が堂々と建っている。昔見た映画『グッバイ、レーニン!』どころではなくて、現に首都のど真ん中に今もレーニン像がしっかりと建っているのだった。