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ルカシェンコ大統領は「戦争」と言った

[3月17日~3月19日]ルカシェンコ大統領、ビリニュス、成田空港から生中継……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

3月17日(木) 朝早く目が覚めた。東京のデスクと連絡。地震の被害は思ったよりも少ないとのことだがまだ予断を許さない。ゼレンスキー大統領がアメリカ議会でのオンライン演説で、<9・11>と<パールハーバー>を引き合いに出してウクライナ支援を訴えたそうだ。彼は本質的に「演者」なのだろう。朝食をとって、ホテルをチェックアウト。

 午前8時にホテルを出発する。Pさんに来ていただき、お別れの挨拶をする。PさんにはきのうのPCR検査の結果の書類を取りに行ってくださって、全員陰性だった。本当にお世話になった。午前8時半には独立宮殿前に到着したが早すぎて、出迎えの外務省Aが現れたのは約束通り午前9時。今日の彼女の服装は昨日のミニスカとは打って変わってフォーマルな黒のパンツに高価そうなジャケットを着こんでいた。大統領が来るためか、きのうよりも一層ピリピリしている。

 所持品検査もきのうより厳重だ。実際にインタビュールームに移動する前、大統領の秘書官(女性)と報道官(男性)が挨拶に来た。大統領府のプレス担当Iもいる。そこでまたギリギリの段階で昨日とは違うことを言ってきた。部屋のキャパシティが限られているので、部屋に入れるのは金平とカメラマンと通訳だけだと。突然何を言っているのか。ギリギリの段階で押し返して何とかKディレクターだけは部屋に入れるようにした。Sディレクターは大統領担当の記者たちが詰めているプレスルームで音声だけをリアルタイムで聴ける部屋で取材してもらうことになった。ええい。あとは出たとこ勝負だと腹がすわった。

ルカシェンコ大統領とのインタビューが行われた部屋 「ミンスク合意」が調印された 部屋だという説明だった拡大ルカシェンコ大統領のインタビュールーム。ここで「ミンスク合意」が調印されたという説明だった=撮影・筆者

 何と直前になってプレス担当のIが、大統領の入室時にはここに立っていろと場所を指示してくる。おいおいおい。とにかく固く守ろうと思っていたことは、不要な笑顔を決して見せないことだった。日本人の悪い癖は、初対面の相手(とりわけ外国人)に対して不可解な笑みをみせることだ。笑った瞬間にその顔は切り取られ、流通する。一定のイメージが形成される。それだけは避けようと思った。


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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