2022年04月12日
4月2日、JR東日本の八王子駅で列車を撮影していた男性がホーム下に転落してしまうという事故が発生した。
事故当時は、列車の撮影を目的としたたくさんの列車ファン、いわゆる「撮り鉄」がホームに集まっていた。
彼らの目当ては、4月2日と3日に八王子駅〜いわき駅間で運行される臨時急行「いわき」であった。濃いめのクリーム色に派手さを抑えた赤いライン、いわゆる「国鉄色」で登場したE653系を撮影しようと、八王子駅のホームは多くの撮り鉄で賑わっていた。
男性が落ちた場所はちょうど階段脇で、ホームが狭くなっている場所であった。ちょうどそこは列車のフェイスを撮影できるポジションだったことから、撮影したい人が集中してしまった状況で転落してしまったようだ。
幸い男性に怪我はなかったようだが、落ち方や打ち所によっては大事故に繋がりかねず、ネットでは「ホームでの撮影を禁止しろ」といった声も挙がっている。
ネットなどでは以前から撮り鉄のマナーの悪さがあちこちで取り沙汰されてきた。
今回のようにホームで大混雑を起こしたり、通りがかった乗客に罵声を浴びせたり、撮影者同士で場所取りをめぐってケンカをしたりする場面がネットにアップされている。
駅の外でも、撮影したいからと他人の土地に無断侵入したり、線路に近づきすぎて列車の徐行運転を余儀なくさせたり、見た目が悪いからと保安のために刺さっていた杭を勝手に抜いたり、撮影ポイントに生えていた木を勝手に切ったり、といった問題行動があるという。
果ては撮影ポイントの草を勝手に刈って「綺麗にしてやったから、ここから撮影するならカンパを支払え」などとほかの撮り鉄に言い出した例もある。
このように問題行動ばかりが注目されがちな撮り鉄だが、もちろん、ほとんどの撮り鉄はネットで騒がれるようなことはしていないはずだ。
しかし、誰でも動画をインターネットに公開できる時代。100人のうち一人でも自分勝手な行動をする者がいれば、それがネットに晒されて、さも「撮り鉄の本性」であるかのように人々に記憶されてしまうのである。
多くの撮り鉄はこう思っているだろう。「自分は迷惑をかける連中とは違って、ちゃんと周囲を確認して、迷惑にならないように撮影していたのだ」と。今回、八王子駅で発生した転落事故の写真をアップロードした人の中にも「自分は広い安全な場所で撮影していました」と主張する人がいた。
しかし、不特定多数の人々が集まって撮影を始めた時点で、
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