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ウクライナに触発され、時空を越えたい思いが拡がる

[3月20日~3月26日]ウクライナ緊急シンポ、金沢、筑紫哲也さんの書斎……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

3月20日(日) 時差の調整がなかなかうまく行かない。よく太陽の光に当たるといいとか言われているがそういう余裕がない。

 ウクライナは330万人が国外に脱出し、630万人が国内で地元を離れて避難せざるを得ない状況に達した。つまり国民の4人に一人が避難生活を余儀なくされているということだ。これから一体どうなるのか。巨視的な視点と地を這う虫の視点の両方が必要だ。

 『サンデーモーニング』に出演していた田中優子さんが長期化、泥沼化への懸念を表明して「世界が今までやってきたこと」の例として、ベトナム戦争(12年)と満州国(14年)という時間のスパンを指摘していた。考えてみれば、ソビエト連邦というのは1917年から1991年まで74年間存続して消滅したのだ。それくらいの巨視的なスパンで考えなければならない歴史的事象が今起きていることの背景にあるのだと思う。

 今日は13時30分から新宿のロフトプラスワンというライブハウスで、日本ペンクラブ主催の緊急シンポジウム『ウクライナで、ロシアで、何が起きているのか?』があり、その司会進行を仰せつかっていた。きのうポーランドから成田空港に着いて24時間後という無茶ブリなのだが、むしろそういう無茶をやらなければこの気力が続かない。

 会場に早めに行くと、司会進行の相方の青木美希さんがすでに来ていた。頼りになる。ロフトプラスワンは加藤梅造さんがいるし、段取りはペンクラブの言論表現委員会の人々がいろいろと尽力してほぼ出来上がっていた。よかった。あとはウクライナ現地で取材中の遠藤正雄さん、新田義貴さんとのオンラインがつながるかどうかだ。これも何とかクリアされた。すばらしい! 

 進行案に従ってイベントを進めた。会場に来られた方々に加えて、オンラインでの視聴も多数あって手ごたえがあった。この会場で収穫が3つあった。ひとつはウクライナ現地との生中継で日本人ジャーナリストと語りあえたこと。大手の組織メディアが現地取材に赴くことに腰が引けている中での一種の警告を発したつもりでもあったのだが、どれほど伝わったかどうか。普段はあれほどシャイな遠藤正雄さんが決然と現場取材の意義を語っていたのが印象的だった。

ウクライナで取材中の遠藤正雄さん=日本ペンクラブ主催の緊急シンポジウム『ウクライナで、ロシアで、何が起きているのか?』より拡大ウクライナで取材中の遠藤正雄さん=日本ペンクラブ主催の緊急シンポジウム『ウクライナで、ロシアで、何が起きているのか?』より
遠藤正雄さん、新田義貴さん拡大遠藤正雄さんと新田義貴さん(右)=同

 もうひとつはスラブ文学者でペンクラブ副会長でもある沼野充義さんが、病床から口述筆記したメッセージを恭子夫人の代読で寄せていただいたこと。その中身を会場で聴いていて本当に胸にこみあげてくるものがあった。沼野さんにイベント参加を内々に依頼した者として、口述筆記で約束を守っていただいたことに感謝したい念もその一部をなしていたが、それ以上にメッセージの内容の誠実さに対してである。

 3つ目はゲストのひとりの吉岡忍さんが朗読したボリス・ヴィアンの詩『脱走兵』である。この詩、実はウクライナ行き後、3月8日にTBSの大先輩・坂元良江さんが僕の元へメールで送ってきてくださった上に、沢田研二のこの曲のカバー映像まで送ってきてくださっていた。旧べ平連のメンバーならみんな知っている詩なのかな、と思っていたらそうでもないようだった。

沼野充義さんが、病床から口述筆記でメッセージを恭子拡大沼野充義さんのメッセージを代読する沼野恭子さん=同
吉岡忍さん拡大吉岡忍さん(左)と筆者=同

青木美希さんと(左)と筆者==同拡大青木美希さんと(左)と筆者=同
 あっという間の3時間で、もっと時間が欲しいくらいだったが、ライブハウスなので後ろが詰まっていた。打ち上げにも参加せずに帰途を急いだ。というのは明日、長年の約束を果たすべく金沢に始発の新幹線で行かなければならないからだった。時差ボケが治らない。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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