[4月3日~4月11日]日本記者クラブ連続会見、ガルージン駐日ロシア大使……
2022年04月29日
4月3日(日) プールへ行き、泳ぐ。3月20日の日本ペンクラブのイベントで読み上げられた、沼野充義さんのメッセージ(恭子夫人が口述筆記したものを自ら代読)の内容をテープから書き起こしてみた。「神奈川大学評論」に書く原稿の中で要約を紹介したいので。つくづくあの時点において、最も正気を保ち得ていた内容だったなと思う。今、皆がどこか浮足立っている。ロシアのウクライナ侵攻以降、転向とか宗派替えが充溢している。まともな論壇こそが今求められているのに、ない。
ところで、最近、日本記者クラブの記者会見の内容が随分改善されてきたように思う。ウクライナや沖縄に関する連続勉強会的な会見ラインナップをみて、そう思うのだ。
4月4日(月) キーウ近郊の町や村(ブチャなど)から民間人の遺体が続々と見つかっているという報道。「ロシアによる残忍な戦争犯罪」というストーリーが全メディアの基調。「神奈川大学評論」の原稿を書く。
TBS近所でランチをとっていて、旧TBSビジョン社の塩澤喜代彦氏が既におととし死去されていたことを店主から教えられ、不覚の涙。ドナルド・キーン氏から深い信頼を得ていた紳士であった。そのような知性に満ちた人物がかつてのTBS界隈にはゴロゴロいた。
そう言えば、宮崎学氏の死去を今朝の新聞で知った。『突破者』で知られた氏と、一時頻繁に会って取材をともにしていた。オウム事件のさなかのことだ。合掌。
S氏と電話で長話。バービ・ヤールの谷事件、ショスタコーヴィチの交響曲第13番、フルシチョフ、NATO(北大西洋条約機構)は善か、レジスタンスの神話化など、話が多岐多方面にわたる。
4月5日(火) 朝、プールへ行って泳ぐ。その後『報道特集』の定例会議にオンライン参加。戦争犯罪というタームが飛び交う。フリーランスの新田義貴さんは再びキーウへと向かっている。
香港政府の林鄭月娥行政長官がきのうの記者会見で、5月の長官選挙に出馬しない意向を表明したという。香港治安機関の元トップが後任だとか。ミニ・プーチンみたいなもんだ。
日本記者クラブで映画『ドライブ・マイ・カー』の監督、主演らの記者会見。正直に言えば、質問が拙くて聞くに堪えなかった。
メディア学会の部会の打ち合わせをオンラインで。早稲田大学の新旧TAさんの引き継ぎを新宿で。Espa。図書新聞のスロバキア在住の増田幸弘論文「殺すな」はよかった、と編集長氏に伝える。
4月6日(水) 朝、ストレス解消でプールへ行き泳ぐ。泳げば少し楽になる。
4月7日(木) 朝、メディア学会の部会の沖縄勉強会打ち合わせ。赤坂の白妙のシュークリームを買う。神保町で打ち合わせの前にカレーを食べる。
ブチャの虐殺の衝撃広がる。Google社は、ウクライナ軍が自国民を意図的に虐殺しているなどの内容を含むコンテンツを凍結する方針を発表した。
15時30分から神保町での定期打ち合わせ。ブチャでの民間人虐殺報道などについて、プーチン大統領は「下品でシニカルな挑発行為だ」とハンガリーのオルバン首相との電話会談で述べたという。
16時30分からロシア大使館でガルージン駐日大使へのインタビュー。現下の状況の下では断られる可能性が大だったが、何とか実現に至った。以前、ウクライナ侵攻のちょうど1週間前の2月17日にガルージン大使にインタビューをした。その時もかなり激しいやりとりとなったことがあったので、なおのこと、難しいかと思っていた。
ロシア大使館は厳しい警備体制が敷かれていた。Kディレクターとカメラクルー(2カメ)と同大使館前で落ちあい、その後、大使館玄関外で機材チェックが念入りに行われたのちは、対応は意外なほどあっさりしていた。大使館1階の面接広間。
カメラ位置を決めセッティングが行われるまで、いろいろな想念が頭をよぎった。ガルージン氏はソ連時代からの生え抜きのプロの外交官であり、少年期の多感な時期(6歳から11歳まで)を日本で過ごしたほか、3度の駐日大使館勤務を経てきた。日本語能力はおそらくロシアでトップ級であり、北方領土交渉を含む日ソ首脳会談、日露首脳会談でクレムリンの公式通訳を努めてきた人物だ。日本の歴代首相がその時どんな発言やどんな身振りをしてきたのかを全部目撃してきた人物だ。
こちらとしても民間人の虐殺の事実に関する見解を問わなければ何のためのインタビューかということになる。フェイクだというのならその根拠を示してみろというわけだ。さらには停戦協定の可能性、ロシア国内のメディア統制の現実について、さらには世界で広がるロシアの外交官の追放についても。インタビュー会場の広間には、広報担当のタチアーナ・コーチキナ二等書記官の他に3人の男性大使館員が立ち会った。
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