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吉野家元常務の「生娘シャブ漬け」発言はネットに渦巻く醜悪な言葉に通じる

赤木智弘 フリーライター

 早稲田大学が主催した社会人向けマーケティング講座で「生娘をシャブ漬け戦略」「田舎から出てきた右も左もわからない若い女の子を牛丼中毒にする」などと発言した、当時吉野家常務取締役であった伊東正明氏の一件。

 早大は注意勧告の上、彼を講師から降板させ、吉野家は常務取締役を解任した。一見、この問題は幕を引いたかのように見えるが、僕はこの問題が彼だけの問題であるとは考えていない。

吉野家元常務の「生娘シャブ漬け」発言拡大吉野家元常務の「生娘シャブ漬け」発言は、醜悪な言葉が飛び交うネット社会の反映なのか

 まず、僕が最初にこの問題を知ったとき、正直なんの興味も湧かなかった。なぜなら、この手の外部コンサル系は昔からこういうしょうもない発言をすることがよくあったからだ。

 自社の看板商品を「男性に高いメシをおごってもらうようになれば食べない」などと貶め、女性をターゲットにする中で「シャブ漬け」などと見下す感覚は、80年代のバブル期によく見られたようなステレオタイプである。そのくらいの古さを感じたし、逆に言えば昭和の経済を牽引したその手のキャラクターに、令和の今でも需要があるという経営層の体たらくぶりに呆れるほかなかった。

 口八丁手八丁でその場の目標を達成さえすれば後は野となれ山となれ、とばかりに、コンサル系の“アドバイス”に騙された社長が部下に素手でトイレ掃除を行わせたりする。そんな僕の「コンサル系への偏見」が、今回の問題でさらに強固になってしまったと言っていいだろう。


筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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