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「福島ダービー」J3に誕生! 震災からの復興に力尽くしたクラブ同士が対決

「信州」「伊予」でも新たなマッチ、Jリーグ30年目の果実

増島みどり スポーツライター

 後半20分過ぎ、場内に「本日の入場者数は、4501人」とアナウンスされると、スタジアム中から大きなどよめきが湧き、長く、心のこもった拍手が鳴り止まなかった。

 5月4日、Jリーグ公式戦で初めて実現した「福島ダービー」福島ユナイテッドFC対いわきFC戦(J3第8節)が、「とうほう・みんなのスタジアム」で行われ、クラブ史上最多となる観客が足を運んだ。「4501」はただの数字ではなく、ダービーの代名詞とされる強烈なライバル心以上の、喜びや一体感をファンにより強く感じさせたようだ。

福島ダービー拡大試合前に盛り上がる福島ユナイテッドFCのサポーターら=5月4日、福島市のとうほう・みんなのスタジアム

競り合いの初戦はいわきが制しリーグ首位に

 昨年新たに設置した照明が、午後4時からのキックオフに合わせてハーフタイムに初めて点灯。問題となっていた芝枯れも張り替えが終り、当日には管理スタッフが早朝6時から入念に仕上げた努力で青々と輝くなど、新・ダービー誕生の舞台にはいくつもの華が添えられた。

福島ダービー拡大試合は拮抗した展開に=5月4日、福島市のとうほう・みんなのスタジアム
 何よりも重要な試合は、シュート数、CKともほぼ並ぶ拮抗した展開に。ホームの福島は、「今回をきっかけに、Jリーグそのものを初めて観戦したいという方々の問い合わせが大変多かった」と手応えを口にしており、今後、リピーターも期待できる闘争心あふれる試合内容となった。

 後半34分、FW・有田稜のヘディングで先制したいわきFCが1点を守って福島に勝利し、リーグ首位に躍進する。一方リーグ戦では今季負けなしで首位に立っていた福島は、この週に新型コロナウイルス感染のため8人が離脱する苦しい事情に追い込まれた。今季から指揮を執る服部年宏監督は「腹を括って戦おう」とチームを鼓舞して挑んだが、初黒星を喫した。

静岡ダービーも戦った福島・服部監督は「勝ちたかった」

 試合を終えた服部監督は記者会見で先ず「とにかく負けたのが悔しい」と気持ちを表した。静岡出身で、現役時代にもジュビロ磐田で日本の元祖ともいえる清水との「静岡ダービー」を戦った百戦錬磨のキャリアを持つ。監督として、今度は新しいダービー誕生に立ち会ったのも、不思議な巡り合わせだろう。
監督は「どこかの県ではもめましたからねぇ」と、サッカー王国のプライドと意地をかけた静岡での激闘をユーモラスに表現し、福島への思いを込めた。

 「きょうは最初の対戦で、激しい戦いになるのか、さらっとした対戦なのか、ここからダービー(の歴史)が始まると思うと、自分も楽しみです。うーん、でも勝ちたかった」と、もう一度悔しそうに言った。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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