「信州」「伊予」でも新たなマッチ、Jリーグ30年目の果実
2022年05月12日
後半20分過ぎ、場内に「本日の入場者数は、4501人」とアナウンスされると、スタジアム中から大きなどよめきが湧き、長く、心のこもった拍手が鳴り止まなかった。
5月4日、Jリーグ公式戦で初めて実現した「福島ダービー」福島ユナイテッドFC対いわきFC戦(J3第8節)が、「とうほう・みんなのスタジアム」で行われ、クラブ史上最多となる観客が足を運んだ。「4501」はただの数字ではなく、ダービーの代名詞とされる強烈なライバル心以上の、喜びや一体感をファンにより強く感じさせたようだ。
昨年新たに設置した照明が、午後4時からのキックオフに合わせてハーフタイムに初めて点灯。問題となっていた芝枯れも張り替えが終り、当日には管理スタッフが早朝6時から入念に仕上げた努力で青々と輝くなど、新・ダービー誕生の舞台にはいくつもの華が添えられた。
後半34分、FW・有田稜のヘディングで先制したいわきFCが1点を守って福島に勝利し、リーグ首位に躍進する。一方リーグ戦では今季負けなしで首位に立っていた福島は、この週に新型コロナウイルス感染のため8人が離脱する苦しい事情に追い込まれた。今季から指揮を執る服部年宏監督は「腹を括って戦おう」とチームを鼓舞して挑んだが、初黒星を喫した。
試合を終えた服部監督は記者会見で先ず「とにかく負けたのが悔しい」と気持ちを表した。静岡出身で、現役時代にもジュビロ磐田で日本の元祖ともいえる清水との「静岡ダービー」を戦った百戦錬磨のキャリアを持つ。監督として、今度は新しいダービー誕生に立ち会ったのも、不思議な巡り合わせだろう。
監督は「どこかの県ではもめましたからねぇ」と、サッカー王国のプライドと意地をかけた静岡での激闘をユーモラスに表現し、福島への思いを込めた。
「きょうは最初の対戦で、激しい戦いになるのか、さらっとした対戦なのか、ここからダービー(の歴史)が始まると思うと、自分も楽しみです。うーん、でも勝ちたかった」と、もう一度悔しそうに言った。
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