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ガルージン駐日ロシア大使の虐殺フェイク説が崩壊した日

[4月21日~4月28日]アゾフ大隊司令官、沖縄国際大、「報道の自由」賞……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

4月21日(木) 朝、がんばってプールへ行き、泳ぐ。ストレスがたまっていて、いつもより長めに泳いでいたら、その間に北海道の旭川市に住む中学時代の親友Mから電話が入っていた。Mは闘病中で入院先からの電話であることは間違いない。正午過ぎに電話を入れた。「無理できないからだになってしまったわ。からだが言うことをきかないんだ」。声が擦れ気味だった。僕は、5月の22日に北海道に行く用事があるので、その時に会えればいいけれど、今はコロナでお見舞いの制限がきついので、ガラス越しでも会えればいいね、と言った。「したら、またね」とMは応えた。きつそうだった。まいった。 

 何だか無性に旭川のことが思い出されて、東京駅八重洲地下街にある旭川ラーメンの店に行ってラーメンを食べた。これじゃあ泳いでもすぐに元に戻るだけだな。

 音楽やスポーツ界でのロシア排除の動きが止まらない。テニスのウィンブルドン大会はロシア選手の締め出しを発表。またチャイコフスキー国際コンクールについて、国際上部団体が「国際コンクールとは認めない」との決定を行ったという。

 マリウポリの製鉄所アゾフスタールの避難民間人の救出に世界の注目が集まっている。そのマリウポリでウクライナ軍部隊の中核となっているアゾフ大隊のマクシム・ゾリン司令官(在キーウ)とのオンラインでのインタビュー。オンライン上ではかなりソフト・イメージだったが、部隊の実態は取材をしてみなければわからない。戦争取材は常に大きな困難がつきまとう。

 なお、日本の公安調査庁は「国際テロリズム要覧2021」にそれまで記載していた「アゾフ大隊はネオナチ」との部分を4月8日に削除した。創設当時は義勇兵の部隊だったが、今は内務省に所属している。このあたりの変遷を踏まえた報道が必要だが、この司令官もオンラインで各国のメディアに出まくっている。これもある種の情報戦かもしれない。ロシア軍には広報戦略があるのだろうか。

記者会見中の田中均氏(日本記者クラブHPより)記者会見中の田中均氏=日本記者クラブHPより、筆者提供
4月22日(金) 朝、プールへ。14時から、オンラインで、沖縄返還50年シリーズで、田中均氏の記者会見(日本記者クラブ)に参加。会見内容は、かなりの部分がウクライナ侵攻後の情勢分析にさかれていたが、これがなかなか有益だった。外交によって安全保障環境をよくする努力を最後の最後まで続けることが肝要だ、と。沖縄の基地問題も「大きな絵」のなかで考えられるべきだと。ただし、結論部分において、田中氏がより一層の日米同盟の強化・一体化を説いていた部分は、僕とは考えが異なる。

 来週の沖縄国際大学の授業に、ウクライナから沖縄へ避難してきたディアーナ・メドヴィードワさんを招請しようと思う。学生たちに、時事問題が身近であることを知ってもらうため、と同時に、ディアーナさんにとっても、異国の地で社会との交流が絶たれていないかが気がかりで、役に立てればという思いもあった。さっそく動き出す。

ガルージン大使のフェイク説こそがフェイク

4月23日(土) 『報道特集』の生放送。前半が「戦争とプロパガンダ」。後半が、公教育の場で障害をもつ子どもたちと共に授業を行う「インクルーシブ教育」の実践。「戦争とプロパガンダ」の特集では、ガルージン駐日ロシア大使が先日の「報道特集」でのインタビューで、「ブチャでの(ロシア軍による)民間人殺害はフェイクだ」と、ビデオをみせながら僕らに行った説明について、ウクライナで現地取材を続けている増尾聡記者が実地検証を行ったところ、ガルージン大使が「遺体がなかった」と言って見せた場所が、

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