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キーシンが奏でたショパンに込めたロシアの侵略戦争へのメッセージ

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 5月20日、ニューヨークのカーネギーホールでエフゲニー・キーシンのピアノリサイタルが開催された。世界の一流の演奏家が招聘されるカーネギーホール主催コンサートシリーズの中でも、10歳からコンサート活動を行って神童として知られてきたキーシンは別格。50歳になった現在でもその人気は衰えず、毎回チケット発売と同時にほぼ売り切れになる。筆者も昨年(2021年)夏の発売開始の日、朝からスマホにはりついてどうにかチケットを手に入れた。

/Shutterstock.com拡大ニューヨークのカーネギーホール Victoria Lipov/Shutterstock.com

 ニューヨークではオミクロン変異株BA.2.12.1の感染が拡大しているが、幸いキャンセルもなく予定通り開催された。会場に入る時には2度のワクチンとブースター接種の証明書の提示が必要で、もちろん中ではマスク着用は必須。それでも席は完売で会場の座席は隙間なく埋まった。

 ロシアのウクライナ侵略戦争が始まってから、指揮者ワレリー・ゲルギエフを筆頭とした、プーチン政権に近いロシア人アーティストたちの公演のキャンセルが相次いだ。キーシンもモスクワで生まれ、ロシアで教育を受けているロシア人だが、キャンセルはもちろん、会場の前で抗議運動をする人もいなかった。

 それもそのはず。キーシンは自分のインスタグラムやインタビューなどを通して、非常に強い言葉でこのロシアの侵略戦争を批判し、さらに西側諸国のこれまでのプーチン政権への手ぬるい対応を非難してきているのだ。

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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