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Bリーグ6年目に見せた「ファンをつくる力」

琉球のアリーナ効果、プロ野球・Jリーグを超えた川崎のSNS戦略…

増島みどり スポーツライター

 5季ぶりの王座を狙う宇都宮ブレックスと、初めてBリーグチャンピオンシップ(CS)決勝に進出した琉球の一戦は、残り22秒で宇都宮77点、琉球75点と、どちらも譲らぬデットヒートにもつれ込んだ。しかし、初代王者・宇都宮は、こうした厳しいゲームに最後の最後に勝ち切るための「経験」を、琉球より多く積んでいたのかもしれない。

Bリーグ拡大第4クオーター、攻め込む宇都宮ブレックスの比江島=5月29日、東京体育館/代表撮影

 22秒から、今大会MVPに選ばれた宇都宮の比江島慎がフリースローを含め立て続けに5点を奪取。82対75で、CS初の「東西対決」に決着を付けた。昨年決勝で千葉ジェッツに敗れた悔しさを胸に、CS初戦、アウェーで連勝して先ずは千葉を退ける。昨年、今年と天皇杯を連覇した川崎ブレイブサンダースとの準決勝にも連勝。CS史上初の6連勝とまさに破竹の勢いで王座を5季ぶりに奪い返した。

 5年前にも、優勝カップを戴冠した41歳の主将、田臥勇太は「皆で成長しようと言い続けたシーズン。CSに入ってからも成長できたと思う」と胸を張った。同時に6年目の果実ともいえる、琉球の活躍に対して「チームとファンに心からの敬意を表したい」と称賛した。田臥の言葉通り、今季の琉球はBリーグでの存在感を示した。

8263人の最多観客を記録した琉球

 琉球は、シーズン中の勝率では過去最高となる49勝7敗(勝率.875)とBリーグ全体の競技レベルをも引き上げた。最新の「沖縄アリーナ」と、ファンの後押しが推進力となった。

 21年4月に、沖縄市の旧闘牛場跡地(コザ運動公園)に、県内初の「全天候型大規模アリーナ」として完成。スポーツだけではなく、コンサートを含むエンターテイメント事業の開催を前提に、音楽事業の「エイベックス」とも業務提携を結んだ。6年前の発足時に、「Bリーグ3つの使命」と掲げたひとつ、「夢のアリーナの実現」を叶えてみせた。

Bリーグ拡大大型ビジョンの存在感がある沖縄アリーナ=沖縄県沖縄市

 5月には、千葉ジェッツを迎え、クラブの主管試合として過去最多観客数となる8263人を記録。光や音楽、映像の演出でも「まるでNBAのよう」(島田慎二チェアマン)と、ファンの心を掴んだ。チャンピオンシップ準決勝の「島根スサノオマジック」戦では、2試合ともに8000人を超える観客を集め、かつてはスリッパに履き替えて観戦するケースさえあった「体育館スポーツ」を、異次元のエンターテイメントを楽しむ「アリーナ文化」へと、一気に変革した。

 23年8月に開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ」(日本、インドネシア、フィリピンで開催)の予選ラウンドでも使用され、国際大会での注目度も高まっている。

YouTube、TikTokともに10万人突破した川崎

 6年目の今シーズン、「川崎ブレイブサンダース」が達成したある数字が、プロ野球、Jリーグの関係者をも驚かせている。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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