橋本倫史(はしもと・ともふみ) ノンフィクションライター
1982年、広島県東広島市生まれ。著書に『ドライブイン探訪』『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場の人々』『東京の古本屋』。最新刊は『水納島再訪』(講談社)。琉球新報にて「まちぐゎーひと巡り」、JTAの機内誌『Coralway』で「家族の店」を連載中。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
那覇の市場から⑤
『cocoon』という作品がある。ひめゆり学徒隊に着想を得て、漫画家の今日マチ子さんが描いた作品だ。僕が沖縄に通うきっかけとなったのは、2013年にこの作品がマームとジプシーという演劇カンパニーによって舞台化されることになったことにある。
上演に先駆けて、出演者やスタッフが沖縄を訪れると聞き、僕もその旅に同行した。
旅の初日は6月23日。その日は沖縄で組織的な戦闘が終結した「慰霊の日」で、激戦地となった糸満市摩文仁にある平和祈念公園では、戦没者を追悼する式典が開催されている。
公園には大勢の参列者がいて、戦没者の名前が刻まれた平和の礎の前には、故人の名前を手でなぞりながら涙を流す方の姿もあった。式典が終わったあとには、公園に広がる芝生の上にシートを広げてお弁当を食べている家族の姿をあちこちで見かけた。今も家族数世代で、戦争で命を落とした方のことを悼んでいる。
その光景が印象に残り、少しずつ沖縄に足を運ぶようになった。
マームとジプシー『cocoon』は2022年夏、全国で上演される。
原作:今日マチ子
(「cocoon」秋田書店)
作・演出:藤田貴大
音楽:原田郁子
【公演日程】
東京:7月9~17日、東京芸術劇場 プレイハウス
長野:7月23~24日、上田市・サントミューゼ小ホール
京都:7月30、31日、京都芸術劇場 春秋座(京都芸術大学内)
愛知:8月6、7日、豊橋市・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
福岡:8月14日、北九州芸術劇場 中劇場
沖縄:8月20、21日、那覇文化芸術劇場 なはーと 小劇場
埼玉:9月2~4日、彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
北海道:9月17日、伊達市・だて歴史の杜カルチャーセンター
9月23日、士別市・あさひサンライズホール
詳しくは公式サイト。
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