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大学生選手の躍進光った陸上日本選手権

日本陸上界をパリ五輪へけん引する新たな力に

増島みどり スポーツライター

 今夏7月15日から24日まで、米オレゴン州ユージーンで行われる陸上の「オレゴン2022世界選手権」代表選考会を兼ねた日本選手権が大阪のヤンマースタジアム長居で4日間の日程で行われた(6月9~12日)。世界選手権へそれぞれの種目に定められた参加標準記録を突破したうえで、日本選手権で上位3位以内に入れば代表に決定する。

サニブラウンが4大会連続で世界選手権へ

陸上拡大男子100m決勝で優勝したサニブラウン・ハキーム(左)と3位になった柳田大輝=6月10日 ヤンマースタジアム長居

 すでに今大会までに標準記録を突破している選手は、確実に3位以内を狙うコンディション能力が問われる。まだ参加記録を突破してない選手は、3位に入り挑戦権を得たうえで、6月下旬まで残る期間で記録更新を狙うか、または、日本選手権で順位と記録の両方を一発勝負で手にするか、それぞれの思惑、戦略が日本最高峰の舞台で激しく争われた。

 男子100メートルでは、サニブラウン・ハキーム(米国在住、タンブルウィードTC)が、力強い走りで、準決勝で10秒04と世界選手権の標準記録(10秒05)を突破。勢いそのまま、決勝を10秒08で制して3年ぶり3回目の優勝を果たし、23歳で、世界選手権4大会連続出場を決めた。

陸上拡大男子走り幅跳びで優勝した橋岡優輝=6月12日 ヤンマースタジアム長居

 昨年の東京五輪でフィールド種目ただ1人の入賞者(6位)となった走り幅跳びの橋岡優輝(富士通)も、2回目に参加標準記録の8メートル22を上回る8メートル27を跳んで優勝を飾り、2大会連続出場。トラックとフィールドのエース2人は、プレッシャーのかかる選考会で「記録も優勝も」確実に勝ち取る圧倒的な強さを見せつけた。

際だった大学生ランナーたちの存在感

 一方、110メートルハードル、400メートルハードル、3000メートル障害では、大学生ランナーたちが、それぞれの戦略で代表の座を掴んだ。

 男子110メートルハードルでは、順大の村竹ラシッド(20)が様子見で慎重に入ると思われた予選で、自己ベストの13秒27を一気にマーク。標準記録13秒32をも突破し「走りながら自分でもコントロールできないくらいスピードに乗った。ステージが上がった気がする」と、若さを爆発力に換え、決勝でも優勝した泉谷駿介(住友電工)に0秒1差に迫る2位となり初の代表に選ばれた。

陸上拡大男子110m障害で2位になった村竹ラシッド=6月12日 ヤンマースタジアム長居
陸上拡大男子3000m障害で優勝した三浦龍司6月11日 ヤンマースタジアム長居

 すでに標準記録を破っていた400メートルハードルの法大・黒川和樹、また昨年の東京五輪で7位入賞と活躍した3000メートル障害の順大・三浦龍司もそれぞれ確実に優勝を果たす安定したレースで代表に決定。三浦は、攻めるレースで日本選手権の大会新記録も樹立し、五輪7位の力を十分に示した。

 世界選手権への挑戦権を手にした大学生スプリンターもいる。男子100メートルでは、今年東洋大に入学したばかりの18歳の柳田大輝(ひろき)が、桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)と9秒台を持つベテランを退け、決勝で3位に。代表選出条件の日本選手権3位以内を先に確保し、6月26日の布勢スプリント(鳥取)での参加記録(10秒05)突破に望みをつないだ。

 準決勝で自己ベスト10秒16をマークしており、準決勝では記録で拾われた桐生に、「柳田君に、(桐生たちとは)もう世代交代ですか?って言われたんですが……」と、物おじしない大らかな性格も披露されてしまうなど、波に乗って急成長しそうなランナーだ。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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