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アメリカ社会を50年後退させた連邦最高裁の決断──銃規制法と人工中絶

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

銃を携帯してタイムズスクエアを闊歩する時代に?

銃撃事件があった米テキサス州ユバルディの小学校前には、夜になっても多くの捜査関係者が立っていた=2022年5月24日拡大銃撃事件があったテキサス州ユバルディの小学校前=2022年5月24日

 その一つ目はやはり銃規制。筆者も住むニューヨーク州の銃規制についてである。

 もともと治安に関しては決して褒められたものではないニューヨークだが、これまで銃による無差別乱射殺人事件が少なかったのは、全米の中でも厳しい銃規制が設置されていたためだ。

 1913年にニューヨーク州では拳銃の携帯には「適切な理由」が必要だと規定され、テキサスなど保守派の強い州のように一般人が自家用車のダッシュボードに「護身用」拳銃を無造作に入れておくようなことは、法律で禁じられている。

 だが銃携帯の許可申請を退けられた銃所持者、銃の所有権利の擁護団体がニューヨーク州当局を訴え、6月23日に連邦最高裁は州法の規制が「過剰」であるとの判決を下した。米国政府がようやく銃規制強化に向けて少しずつ動き出した流れを察知し、それを阻止するかのような判決だった。

 ニューヨーク州知事も、ニューヨーク市長も、全力を尽くしてこの規制緩和を阻止しようとするだろうが、連邦最高裁の決定に抗うのは難しい。そう遠くない将来、一般市民や観光客が銃を携帯してタイムズスクエアを闊歩するという、西部劇のような光景が現実になる日が来るのだろうか。パンデミック以降の治安の悪化により、違法に持ち込まれた銃を使ったギャングメンバー同士の打ち合い事件が多発している。そこでさらに一般市民の銃の携帯が普及したなら、これからのニューヨーク市の治安は一体どうなっていくのだろうか。

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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