史上初の女性審判員に選出 フランス、ルワンダからも
2022年07月01日
サッカーW杯カタール大会(11月21日開幕)でW杯史上初となる女性主審の1人に選ばれた山下良美(36)に6月下旬、インタビューした。ほかに、在京の欧米大手通信社各社がそれぞれ取材に来ており、このニュースの反響の大きさが改めて伺えた。
審判のユニホーム姿に、陸上競技の中距離ランナーと同じしなやかで力強い筋肉をまとい、体脂肪を徹底的に削ぎ落した様子がとてもよくわかる。山下がいかにトレーニングを大切に、着実に継続し、審判以前に「アスリート」として超一流であろうと努力してきたか、その証なのだろう。
――発表から1カ月半、どんな気持ちで過ごして来ましたか?
山下 W杯より、やはり今日、目の前の試合を目標にしなければいけないという気持ちと、まだ5カ月あるので、いくらでも準備はできるんだと思う先の目標と、両方を持って過ごさなくてはいけないと考えています。責任感は大きくなりますが、ネガティブな方向ではなくて、それだけの責任が負える喜びや、(海外からの注目も含めて)それだけ目が向いているのも嬉しい、と思っています。
――大学時代に、先輩でもある女子審判員の坊薗(ぼうぞの)真琴さんに誘われ4級審判になられたのが、この道に入ったきっかけですね。
山下 もともと、女子サッカーの発展に審判として少しでも貢献したいなと思っていました。2010年に、「なでしこリーグ」の副審を担当する2級の資格を頂いて、日本のトップリーグに関わる責任を強く感じ、審判でやるならばその役割に向き合わなくては、と決めました。
――12年に女子一級審判になり、15年には国際審判員に。審判としてレベルが上がっていく中で何を大切にしてきましたか?
山下 トレーニングに対してより焦点を当てるようになりました。女子1級に登録された頃、審判のフィットネスメニューに40メートル走があり、ずっと6秒03、6秒02、よくても6秒01と、5秒台がどうしても出せず、スプリント専門のコーチの指導を受けたんです。フォーム、スタートの方法から、フォームを維持するためのトレーニングを続けた結果、今は最高で5秒56になり、これは自信になりました。
――レフェリングにもたらす好影響は?
山下 まず、周りに走り方が変わったね、と言葉をもらうようになってそれが嬉しかった。レフェリングにはやはり見栄えが大事です。見栄えとは、不安なく走っている姿だったり、(フォームやスピードが)気にならない走りでもあり、それが自信につながる。自信が持てれば余裕のある判断もできます。今のように暑い日でも、どんな天候にも関わらず、いつも通り試合を担当する。試合中、自分自身で「疲れた」と一度も思わない状態が大事ですから、常にトレーニングを続けて維持できなければならないですね。
日曜日に試合を担当したとして、月曜日から土曜日まで自分のトレーニングメニューは決めて準備をします。トレーニングに行くために立ち上がる時には、自分に「よし行くぞ!」と思わないとキツイですが。
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