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サッカーW杯もう1人の「日本代表」山下良美に聞く

史上初の女性審判員に選出 フランス、ルワンダからも

増島みどり スポーツライター

 サッカーW杯カタール大会(11月21日開幕)でW杯史上初となる女性主審の1人に選ばれた山下良美(36)に6月下旬、インタビューした。ほかに、在京の欧米大手通信社各社がそれぞれ取材に来ており、このニュースの反響の大きさが改めて伺えた。

 審判のユニホーム姿に、陸上競技の中距離ランナーと同じしなやかで力強い筋肉をまとい、体脂肪を徹底的に削ぎ落した様子がとてもよくわかる。山下がいかにトレーニングを大切に、着実に継続し、審判以前に「アスリート」として超一流であろうと努力してきたか、その証なのだろう。

山下主審拡大男子の20歳以下日本代表候補の紅白戦で主審を務める山下良美さん=2021年3月

「レフェリングにはやはり見栄えが大事」

――発表から1カ月半、どんな気持ちで過ごして来ましたか?

山下 W杯より、やはり今日、目の前の試合を目標にしなければいけないという気持ちと、まだ5カ月あるので、いくらでも準備はできるんだと思う先の目標と、両方を持って過ごさなくてはいけないと考えています。責任感は大きくなりますが、ネガティブな方向ではなくて、それだけの責任が負える喜びや、(海外からの注目も含めて)それだけ目が向いているのも嬉しい、と思っています。

――大学時代に、先輩でもある女子審判員の坊薗(ぼうぞの)真琴さんに誘われ4級審判になられたのが、この道に入ったきっかけですね。

山下 もともと、女子サッカーの発展に審判として少しでも貢献したいなと思っていました。2010年に、「なでしこリーグ」の副審を担当する2級の資格を頂いて、日本のトップリーグに関わる責任を強く感じ、審判でやるならばその役割に向き合わなくては、と決めました。

――12年に女子一級審判になり、15年には国際審判員に。審判としてレベルが上がっていく中で何を大切にしてきましたか?

山下 トレーニングに対してより焦点を当てるようになりました。女子1級に登録された頃、審判のフィットネスメニューに40メートル走があり、ずっと6秒03、6秒02、よくても6秒01と、5秒台がどうしても出せず、スプリント専門のコーチの指導を受けたんです。フォーム、スタートの方法から、フォームを維持するためのトレーニングを続けた結果、今は最高で5秒56になり、これは自信になりました。

――レフェリングにもたらす好影響は?

山下 まず、周りに走り方が変わったね、と言葉をもらうようになってそれが嬉しかった。レフェリングにはやはり見栄えが大事です。見栄えとは、不安なく走っている姿だったり、(フォームやスピードが)気にならない走りでもあり、それが自信につながる。自信が持てれば余裕のある判断もできます。今のように暑い日でも、どんな天候にも関わらず、いつも通り試合を担当する。試合中、自分自身で「疲れた」と一度も思わない状態が大事ですから、常にトレーニングを続けて維持できなければならないですね。

 日曜日に試合を担当したとして、月曜日から土曜日まで自分のトレーニングメニューは決めて準備をします。トレーニングに行くために立ち上がる時には、自分に「よし行くぞ!」と思わないとキツイですが。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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