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「親安倍」「反安倍」の不毛な二極対立は、民主主義を一層劣化させる

一つの「刑事事件」として扱い、動機と背景の冷静な解明を

郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

批判と暴力の混同は、むしろ警護の穴を呼びかねない

 また、2019年7月の参議院議員選挙期間中に、札幌市内の街頭演説において、安倍首相の演説に対して路上等から声を上げた市民らに対し、北海道警察の警察官らが肩や腕などを掴んで移動させたり長時間に亘って追従したりした問題について、警察官らによる行為は違法だとして市民らの国家賠償請求の一部を認容した判決が出たことが、本件で安倍元首相の演説の際の警護の支障になったかのような見方もある。

 しかし、「声を上げて批判すること」と、「物理的に抹殺しようとすること」とは全く次元の異なる問題だ。

 実際に、安倍氏銃撃の際の映像が繰り返し放映されているが、現場で警護に当たっていた警察官が、安倍氏と同じ視線で、聴衆の方にばかり目を向けていたために、後方から安倍氏に接近して自作銃を発射した犯人に気付かなかったことが警護上の問題として指摘されている。

安倍晋三氏が銃撃され、騒然とする現場=2022年7月8日午前11時36分、奈良市の近鉄大和西大寺駅前、目撃者の男性提供拡大安倍晋三氏が銃撃され、騒然とする現場=2022年7月8日午前11時36分、奈良市の近鉄大和西大寺駅前、目撃者の男性提供

 なぜ、聴衆の方にばかり目を向けるのか、「安倍帰れ」というような聴衆からの反応の方に注意を向け過ぎたために、後方への警戒が疎かになったとすれば、むしろ、

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筆者

郷原信郎

郷原信郎(ごうはら・のぶお) 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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