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世界陸上、34年ぶり東京開催決定の裏側

国立競技場を“レガシー“にできるか、大きな分岐点に

増島みどり スポーツライター

 15日に開幕した陸上の世界選手権(米・オレゴン州ユージーン)前日に行われたWA(世界陸連)理事会で、2025年世界選手権(通称世界陸上)の開催地に東京が決定した。会場は、昨年の東京五輪のメインスタジアムとなった国立競技場で、1991年の旧国立競技場での開催以来実に34年ぶり。2007年には大阪で開催しており、25年に節目となる20回を迎える今大会において、日本は国別では最多の3回目の開催に臨む。

100m決勝拡大オレゴン世界陸上の男子100m決勝で力走するサニブラウン・ハキーム(右端)。左端は優勝した米国のフレッド・カーリー=代表撮影 2022年7月17日 

 25年大会に立候補をしたのは、東京のほかに、シンガポール、ケニアのナイロビ、ポーランドのシレジアの4都市。東京は昨年、東京五輪を終えた10月に正式に立候補をしたが、これには前段がある。

世界陸連会長の“逆指名”が招致のきっかけに

 20年に行われるはずだった東京五輪が、新型コロナウイルス感染症の拡大によって延期に。20年10月、WAのセバスチャン・コー会長が国立競技場を視察した。激しい雨が降るなか無人のスタンドをトラックから見上げながら「深い感銘を受けた。持続可能性が高く美しいスタジアムだ。日本だけではなく、オリンピックのレガシー(遺産)にもなるメインスタジアムだ」と話した後、第3回大会となった91年の東京大会に触れた。

 「私が経験した世界選手権で、東京は一番素晴らしい大会だった。将来的に、世界選手権を日本に持ってきたいと考えており、できれば国立競技場で開催したい」と明らかにした。会長が延期で意気消沈する東京に対して、「91年大会が一番素晴らしい」と言ったのは社交辞令だけでもない。

 当初は前売り券が大量に残っている、などと関心は薄かった。しかし初日に男子100メートルにカール・ルイス(米国)が登場して一気に流れが変わって連日満員に。ファンが生み出す雰囲気も特別だった。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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