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アメリカ取材からウクライナへと地球半周

[7月26日~7月31日]C・トルーマン・ダニエルさん、旧統一教会元幹部……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

加藤智大死刑囚に刑を執行、国家の意思表示

7月27日(水) 今回はちょっとだけ長い出張のため、大きめのスーツケースに衣料などをパッキング。常々感心することの一つは、旅慣れた記者ほど持っていく荷物が少ないことだ。僕はダメだ。服装を考える。行き先の気温をチェックしたら、シカゴは28℃―20℃、NYは31℃―24℃、ワシントンDCは30℃―21℃、ウクライナのキーウ(キエフ)も似たような気温でひと安心。アメリカ取材のコーディネーターのIさんと詰めの電話打ち合わせで要点チェック。

傍聴券が当たったTBS取材チーム拡大傍聴券が当たったTBS取材チーム=筆者提供
 今日は大阪地裁で午後から赤木雅子さんの本人尋問がある。本当は立ち会いたかったが、断腸の思いで諦めた。TディレクターとMカメラマン、VEのAが大阪に撮影・取材に行っている。信頼しているので全面的に任せる。3人とも傍聴券が当たったと写メを送ってきてくれた。

 午前11時に家を出て成田まで移動。その移動中にメールで訃報が入る。「放送人の会」の理事で元TBSの大先輩の伊藤雅浩さんが死去された。いつも笑顔を絶やさぬ温厚な人だった。古きよき時代のTBSの人。合掌。

 17時に機内に乗り込む。まずはアメリカのシカゴへ。シカゴ在住の、原爆投下を命じた米大統領ハリー・トルーマン大統領のお孫さんダニエルさんにインタビューするのだ。

 機内でよせばいいのに映画をみてしまう。ひとつは『ウエスト・サイド・ストーリー』。スピルバーグの157分版。僕はオリジナルの方がいいや。もうひとつが、これが奇妙な味の映画なのだが台湾映画『American Girl』(『アメリカから来た少女』)。アメリカの西海岸から「故国」の台湾に帰国した女子高生がどうしても台湾式になじめない。家族も夫婦の間が不安定に。夫はメインランドの中国に出稼ぎに出ている。台湾式教育が日本顔負けのすさまじい管理教育で、主人公がどんどん孤立していく。

 映画で時間をつぶしていたら、何とシカゴのオヘア空港周辺が悪天候で、上空を飛行機が旋回。とうとう着陸を諦めて、近くのロックフォード空港に着陸する。そこで燃料を給油して、天候の回復しだいでオヘア空港への着陸に再チャレンジするという。あらら。それでシカゴ到着が予定よりも3時間遅れた。

給油のため着陸したロックフォード空港拡大給油のため着陸したシカゴのロックフォード空港=撮影・筆者

 入国は実にスムーズにいく。とにかく日本を出たことを実感するのは、周りの誰一人マスクをしていないことだ。空港近くのホテルに直行。ホテルもレセプションからゲストまで誰一人マスクなんか全くしていない。こういう時、僕はいつも時差調整が苦手で、ずうっと時差ボケのまま取材を続行する羽目になる。だから無理やり眠る。

 秋葉原事件の加藤智大死刑囚に死刑が執行されたことを知る。安倍元首相銃撃・殺害事件と無関係ではあるまい。国家の意思表示。

加藤死刑囚の刑執行を報じた朝日新聞拡大加藤智大死刑囚の刑執行を報じた朝日新聞2022年7月27日付=撮影・筆者

筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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