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「不起訴理由が見えない記事」から見えるもの~名誉回復と権力監視に力を尽くさぬ記者クラブメディア

熊本日日新聞「不起訴の陰影」企画キャップ・植木泰士記者との対話を通じて①

高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト

 「不起訴の理由はわからない」――。

 そんなニュースが巷にあふれている。犯罪の容疑者が不起訴になった際には「検察は不起訴の理由を明らかにしていない」という決まり文句を付すことも当たり前になってきた。不起訴の理由を検察は公表せず、報道機関も深く取材しようとしないことが原因だ。“謎の不起訴”があふれる状態は、いったい、何を物語っているのか。目を凝らすと、“取材崩壊”とでも呼ぶべき寒々とした様子も見えてくる。

「嫌疑なし」と「起訴猶予」の落差

 起訴か不起訴かの決定権限は、日本では検察官だけに与えられている。起訴された場合は公の法廷で証拠に基づいて事件の詳細が明らかにされていくが、不起訴の場合は公判も開かれず、捜査の状況が公にされることはない。

2022年6月24日付朝日新聞朝刊の社会面の記事拡大2022年6月24日付朝日新聞朝刊の社会面の記事
 不起訴には主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」という3種類がある。

 「嫌疑なし」は文字通り、犯罪の容疑そのものがなかったという判断だ。捜査機関が集めた証拠には犯罪を証明するものがなかったケースである。容疑者は無実であり、捜査が間違っていた可能性がある。

 「嫌疑不十分」は、裁判で有罪を立証する証拠を十分に集められなかったケースなどを指す。

 「起訴猶予」は、証拠に基づいて有罪を立証することは十分に可能だが、検察官の判断で起訴しないことを指す。罪の軽重や容疑者の境遇、被害弁済、示談成立などを考慮して、検察官はこの判断を下す。

 同じ不起訴であっても、「嫌疑なし」と「起訴猶予」には、天と地ほどの差がある。したがって、不起訴がどの種類なのかは、事件関係者だけでなく、地域住民らにとっても重大な関心事のはずだ。それにもかかわらず、不起訴に関する最近のニュースは、この3つの区分すら明らかになっていない。なぜ、こんなことが起きているのか。

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筆者

高田昌幸

高田昌幸(たかだ・まさゆき) 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト

1960年生まれ。ジャーナリスト。東京都市大学メディア情報学部教授(ジャーナリズム論/調査報道論)。北海道新聞記者時代の2004年、北海道警察裏金問題の取材班代表として新聞協会賞、菊池寛賞、日本ジャーナリスト会議大賞を受賞。著書・編著に『真実 新聞が警察に跪いた日』『権力VS調査報道』『権力に迫る調査報道』『メディアの罠 権力に加担する新聞・テレビの深層』など。2019年4月より報道倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会の委員を務める。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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