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その恋は大丈夫? シンガポールで同性愛が「犯罪」ではなくなる日

禁錮刑を定めた刑法条文の廃止を首相が言明 変化は一直線ではないけれど

遠藤まめた 社会活動家

 国際NGOなどの情報によれば、2022年7月時点で世界では同性間の性的関係について刑法で規制している国は70カ国ある。うち12カ国は死刑で、27カ国は禁錮10年から終身刑、31カ国が禁錮10年未満となっている。今回はそのような国の一つ、シンガポールで近く同性間の性的関係を違法とする規定がなくなるようだ、というニュースをとりあげたい。本記事では、シンガポール在住のアレックスが取材に応じてくれた。

マーライオン拡大シンガポールは多人種・多宗教の国だ。観光名所マーライオンの前で写真を撮る人たち=2021年12月

友人からの連絡に「思わず鳥肌がたった」

 8月のある日、アレックスは友人から送られてきたメッセージをみて、思わず鳥肌がたったという。

 「377Aがなくなるって!」

 すぐに首相演説をチェックした。どうやら友人が言っていたのは本当のことらしい。377Aとは、シンガポールのLGBTコミュニティにとって長年の課題となってきた刑法の条文である。

 刑法377A条は男性同士によるわいせつ行為やあっせんを2年までの禁錮に処すると定めたものだ。1930年代の英国植民地時代に導入されて、2022年の今日までずっと存在してきた。

 以前は実際に処罰された人もいたようだが、少なくともこの数十年もの間に罰せられた人はいない。この古い法律は、とっくに役目を終えていた。

 それでもLGBTQコミュニティにとって不安をもたらす規定だったことには変わりない。また、刑法があることで性感染症について啓発をする際にも、同性と性的接触を行う人たちには正しい情報を届けられないなど障壁となってきた。子どもたちは学校で、性の多様性について肯定的な情報を得る代わりに、同意のある性行為でも犯罪になることを学んだ。当事者の子どもが自己肯定感を育む教育からは、ほど遠い。

その恋は大丈夫?とアプリが警告

 シンガポールで暮らす、性自認が男女のどちらにもあてはまらない「ノンバイナリー」のアレックスがマッチングアプリにログインしようとすると、簡単な警告が表示される。

 「あなたのエリアでは法律で規制がされるおそれがあります」

 その恋は大丈夫?と、アプリが心配をしてくれるのだ。

 ただ友人からの吉報によれば、そんな警告が無くなる日が、近い将来訪れるかもしれないのだった。

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筆者

遠藤まめた

遠藤まめた(えんどう・まめた) 社会活動家

一般社団法人にじーず代表。1987年埼玉県生まれ。トランスジェンダー当事者としての自らの体験をきっかけにLGBTの子ども・若者支援に関わる。著書に「先生と親のためのLGBTガイド 〜もしあなたがカミングアウトされたなら」(合同出版)、「みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT』(ちくまプリマー新書)ほか。トランスジェンダーの情報サイト「trans101.jp」主宰。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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