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2024パリ五輪へ フェンシング・江村美咲の戦い

競技初のプロ転向 7月の世界選手権で女子初の金メダルを獲得 

増島みどり スポーツライター

 2024年7月26日に開会式を迎えるパリ五輪(8月11日閉会式)に向けて、各競技が代表権をめぐる戦いをスタートさせている。卓球はパリのシングルス代表選考の対象大会として、全農カップを行い、東京五輪で三つのメダルを獲得した伊藤美誠が優勝。バドミントンも東京で世界選手権が開かれ、続けてジャパンオープンと、トップ選手たちの「ポスト五輪」をめぐる戦いが始まっている。

 パリの開幕まで早くもあと2年となったこの夏には、実施される32競技329種目のスケジュールも公表された。開会式は26日、競技開始は24日でサッカーとラグビーで幕を開ける。

 東京五輪の1年延期に伴い、中3年となった変則での五輪は、「時間との戦い」が大きなウエイトを占める。五輪直後の1年間は、長期休養を取り、選考や連続する試合期間には取り組みにくい基礎トレーニングを充実させるのが主流だった。東京五輪前の1年延期にアスリートの多くが困惑し、メンタル面の調整の難しさを口にしたが、パリまでの3年もまた、未知の五輪となる。

 そんななか、先陣を切ってスタート、ダッシュした競技がある。東京五輪の男子団体(エペ)で 史上初となる金メダルを獲得したフェンシングが、24年へ加速している。

女子初の快挙を達成したフェンシング界初のプロ

江村拡大全日本選手権の女子サーブル決勝を戦う江村美咲(右)=2019年11月

 パリまであと2年となる7月に行われた世界選手権(エジプト・カイロ)で、日本は同選手権で最多となる四つのメダルを堂々獲得した。

 昨年の五輪で金メダルを獲得し、「エペジーン」(エペでジーンと感動する)を流行語にしたエース、見延和靖(35=ネクサス)が、同種目初の個人銀メダルに輝き、加納虹輝(日本航空)、山田優(株式会社山一商事)、松本龍(日本大学)と臨んだ団体でも初の銅メダルを手に。

 さらに女子では、日本の実力を強く世界に印象付ける快挙が達成された。江村美咲(23=立飛ホールディングス)がサーブルでも、女子でも、初となる金メダルを獲得。団体では、福島史帆実(株式会社セプテーニ・ホールディングス)、小林かなえ(三重県スポーツ協会)、尾崎世梨(法政大学)とともに、初の銅メダルを獲得した。

 フェンシングには、08年北京五輪で太田雄貴が初のメダルを獲得(銀)して注目された「フルーレ」、見延たちの「エペ」、もうひとつ「サーブル」と3種目がある。フランス発祥の競技で、サーブルは、馬上で戦う剣術が起源とされ、腰より上を突く。また他の2種目とは違い「突き」だけではなく、「切り」も有効となる。わずかでも剣が触れると得点となるため、展開が非常に速く、身体能力の高さや、反射神経、瞬発力が求められる種目だ。

 日本には不利とされる身体能力がひとつの要因となり、日本のフェンシングはフルーレを優先的に強化した土壌があり、サーブルは2種目と比較すると強化が遅れていた。

スポンサーに「金」を報告、プロの喜び実感

 10代から日本の女子フェンシングをリードしてきた江村は、昨年の五輪イヤーに中大を卒業してフェンシング界初のプロに転向した。所属契約を結ぶ「立飛ホールディングス」を含み、五つもの個人スポンサー名が入ったユニホームを着用して今回の取材に対応。メダルと同じく、実績を認められて来た証にも映り、笑顔にも昨年とは違う自信が漂っているようだった。

 「スポンサーの方々への報告は、プロとしての活動を実感するもので、今回、金メダルをお見せできたのは私にとってもとても嬉しい経験でした。でも……」

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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