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【65】物価高騰やまぬ今こそ問われる 困窮者支援への自治体の姿勢

生活保護に伴う扶養照会 「援助が無理なら連絡しない」の徹底を

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

 物価高騰が止まらない。

 総務省が20日に発表した8月の全国消費者物価指数(変動の大きい生鮮食品を除く)は、前年同月比で2.8%上昇となった。この上昇率は、消費税率引き上げの影響を除けば、実に30年11か月ぶりの高水準である。

 今秋には食料品などを中心に更なる値上げラッシュが予定されており、家計への影響は計り知れない。

支援団体の食糧配布に長い列ができた

 物価の上昇に歩を合わせるかのように、東京都内各地で民間の困窮者支援団体が実施している食料支援に集まる人の数も増加を続けている。

 8月27日には、池袋の公園でNPO法人TENOHASIが実施している弁当配布に並ぶ人の数が530人となり、過去最多を更新した。スタッフによると、人数が増えることを見越して弁当の数を調整しているが、予測を上回る人が集まることもあり、綱渡りの状況だと言う。

 食料支援を続けている各団体の話を聞くと、支援を求める人が増える一方、今年に入り、企業や個人からの寄付金や寄贈される物資は減少傾向にあり、どの団体も食料の確保に苦労しているという。

食料配布の列に並ぶ人たち=2022年9月7日午後9時11分、東京都豊島区、石川友恵撮影拡大食料配布の列に並ぶ人たち=2022年9月7日夜、東京都豊島区

 民間の支援が限界に近づく中、公的なセーフティネットの現状はどうなっているだろうか。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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