西郷南海子(さいごうみなこ) 教育学者
1987年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。神奈川県鎌倉市育ち、京都市在住。京都大学に通いながら3人の子どもを出産し、博士号(教育学)を取得。現在、地元の公立小学校のPTA会長4期目。単著に『デューイと「生活としての芸術」―戦間期アメリカの教育哲学と実践』(京都大学学術出版会)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「常時接続」時代、コロナ時代に進んだ新たな「つながる」様式
まず、なぜLINEをつなげたままにするのか考えてみたい。LINEと子どもの問題は以前から頻繁に取り上げられてきた。夜遅くまでLINEでテキストのやりとりをするため、子どもの睡眠時間が削られる問題や、陰湿なネットいじめの問題。これらは基本的には(保護者から隠れて)テキストで行われていたといえる。したがってこれらは、今回考察しているオープンなスピーカーフォンでの「通話」事象とは異なる。
友達との通話をつなげたまま、スピーカーフォンで過ごすという生活スタイルは、筆者が考えるに、3年前の新型コロナウイルス登場を契機としている。学校は突如として休校になり、休校の延長が繰り返された。やっと学校が再開しても部活はなく、中学生・高校生らしい放課後を過ごすことができなかった。そこで帰宅後、仲良しグループで通話をつなぎっぱなしにするというスタイルが生まれたのではないか。少なくとも筆者の家庭ではそうである。
放課後の定番、ゲームも一緒に集まってやる必要がなくなった。数年前までは、公園に子どもたちが集まって、体を使った遊びをするのではなく、背中を丸めてゲーム機に向かっていることを悲観的にとらえる見方があったが、コロナでもはや集まることができなくなった。
そこで、活躍したのがオンラインゲームである。オンラインゲームへの入室を互いに知らせるためにはLINEが必須である。また、オンラインゲームの機能として会話音声を流すこともできるが、ゲーマーの我が子(中3男子)によれば「ゲーム内の音と同等に声を拾うから聞こえ方がきつい」。そのため、LINEのスピーカーフォンを手元に置くスタイルに落ち着いたという。
では、勉強に関してはどうだろう。
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