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【がんと向き合う③】「がんばれ」は「がんを張り倒せ」だ

激痛に耐えて放射線照射、一筋の光が見えた

隈元信一 ジャーナリスト

 1年余前に「余命3カ月から半年」と宣告された隈元信一さんの、がん闘病記3回目です。激しい痛みに耐えながら受けた放射線照射の効果は、そして、病気を伝えた友人たちの反応は――。

放射線照射の準備、激痛で記憶はおぼろ

 昨年(2021年)の9月9日、私は大森赤十字病院(東京都大田区)から、同じ大田区内の東邦大学医療センター大森病院へ転院した。腰に放射線を照射してもらい、がんによる腰の激痛をやわらげるためだ。

 しかし当時の私は寝たきり寸前で、放射線照射のことをあれこれ考えても、多くのことが思い出せない。痛みと苦しみで朦朧としていて、自分に何が起きているのかを客観的にとらえることができなかった。いま振り返っても、圧倒的な病の力をあらためて思う。

拡大sfam_photo/shutterstock.com
 記憶を呼び起こすために、放射線科の担当医による「放射線治療承諾書」を読み直してみる。

 「骨への放射線治療について」とあり、病名は「転移性骨腫瘍(胸椎)(原発:前立腺癌)」となっている。

 「前立腺癌(腺癌・神経内分泌癌)の多発骨転移により、痛みが生じています」という病状説明のあとに、治療の方法として「腫瘍部を含めた骨(胸椎)に放射線照射(外部照射)」とあり、照射は1回で終わることになっている。

 要するに、前立腺がんから骨に転移して痛みが生じているから、体の外から下部胸椎(腰のあたり)に放射線を1回だけ照射して痛みを緩和しましょう――ということだ。

 「脱衣および位置合わせのための体位調整について」という項目には、こんなことが書かれている。

 「放射線治療の際には、皮膚に付けたマークを確認して位置合わせを行うため、また体位の再現性を高める目的で、照射部位近くの衣服は脱いでいただきます。(略)治療時には、担当の診療放射線技師が、皮膚マークを直接目視で確認しながら、位置合わせを行いますので、位置合わせが終わるまではその部分を覆うことができません」

 ここでわかるように、からだに「皮膚マーク」をつけて「位置合わせ」を行う必要がある。これが簡単なようで難しかった。

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筆者

隈元信一

隈元信一(くまもと・しんいち) ジャーナリスト

1953年鹿児島県種子島生まれ。79年から朝日新聞記者。前橋・青森支局、東京本社学芸部、高麗大学(韓国)客員副教授などを経て、論説委員、編集委員。2015年青森県むつ支局長となり17年退社。日本を含むアジア文化・メディアを主なテーマに取材執筆してきた。取材班代表を務めた連載「原発とメディア」で13年科学ジャーナリスト大賞。著書に『永六輔』 (平凡社新書)、『探訪 ローカル番組の作り手たち』(はる書房)。共著に『原発とメディア2──3.11責任のありか』『歴史は生きている──東アジアの近現代がわかる10のテーマ』(以上、朝日新聞出版)、『放送十五講』(学文社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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