赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ナンバーの漏洩リスクを強調しながら、カードを気軽に活用せよ、とはどういうことか
政府は現行の健康保険証を2024年に原則廃止し、マイナンバーカード(マイナ保険証)に一本化する方針を明らかにした。
政府はマイナンバーカードを保険証として利用することで、特定健康診断の結果や処方された薬の情報などが医療機関と簡単に共有されるようになったり、高額医療費の一時負担の必要がなくなるとして、その利便性を強調する。
一方で、マイナ保険証に対応する読み取り機(顔認証付きカードリーダー)の普及は遅れ、また診療報酬明細を作成するためのレセプトコンピューターの改修なども必要だ。しばらくは医療現場や事務方の混乱は避けられないだろう。
僕はマイナンバーカードの発行を実質的に義務化し、無理やりに普及率を上げようとする、この一連の流れに反対する。
政府はカードの普及率を上げようと、バラマキとも思える最大2万円分のマイナポイント配布などの施策を進めてきたが、それでも10月になってようやく人口に対する交付割合が50%を超えたばかりである。
この普及の遅れを一気に取り戻すために、現行の健康保険証をマイナ保険証に強引に入れ替えるという手法を取ったとみていいだろう。