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救済されない旧「2ちゃんねる」の中傷被害者とひろゆき氏の賠償金不払い

Qアノンと日本発の匿名掲示板カルチャー【7】

清義明 ルポライター

ひろゆき氏を参院選の「応援弁士」にした乙武氏

 2022年6月、夏の参議院選挙に立候補を表明した乙武洋匡の選挙活動のキックオフイベントが都内で行われた。

 ボランティアと支持者は若者ばかりで、イベント会場も選挙活動には似つかわしくない目黒のオシャレなイベント会場が選ばれていた。そして、その若者たちに囲まれる乙武氏の隣にはあの顔があった。

 匿名掲示板『2ちゃんねる』の元管理人であり、実業家の肩書でもある西村博之氏である。最近ではユーチューバーといったほうがいいかもしれない。

参院選東京選挙区に立候補した乙武洋匡氏の応援に駆けつけた西村博之(ひろゆき)氏(中央)拡大参院選東京選挙区に立候補した乙武洋匡氏の応援に駆けつけた西村博之(ひろゆき)氏(中央)=撮影:清義明

 乙武氏と西村氏は、この前日には渋谷駅前での街頭演説も行っており、二人の軽妙洒脱なやり取りもあり、ネットやメディアの一部では話題を呼んだ。例の飄々としながら毒舌も混じる西村氏とのイベントでのやり取りは、選挙ボランティアと支持者の若者の笑いに包まれながら進行していった。

 イベント終了後に記者とのぶら下がりの質疑応答が行われた。数十社にのぼるメディアのカメラとマイクに囲まれた和やかなものだったが、筆者はあえて質問した。

 ひとつは、2ちゃんねるの被害者に支払うべき数億円と呼ばれる多額の未払い賠償金の問題だ。西村氏は、賠償金の支払いを時効まで逃げ切ると公言し、所得隠しと言われても仕方ない海外のペーパーカンパニーを設立する手法を駆使して差し押さえを回避し、その結果数十億円ともいわれる賠償金を結局は支払われることはなかった。

 現在ではタレント相手に貯金は数億円と豪語して蓄財している一方で、2ちゃんねる被害者に対する弁済も謝罪も、ましてや反省のひとつもなく開き直っていてる人物を、法治国家の国政選挙の応援弁士に呼ぶことはどうなのかということだ。

 乙武氏は私の質問に明らかに動揺した風に「そこも含めて有権者の方に判断していただくのがいいのかと思っています」と答えた。

 私は乙武氏の回答を聞きながら、これまで話を聞いてきた幾人もの2ちゃんねる被害者で西村博之氏を相手に勝訴したにもかかわらず、賠償金を支払われていない人たちを思い出していた。

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筆者

清義明

清義明(せい・よしあき) ルポライター

1967年生まれ。株式会社オン・ザ・コーナー代表取締役CEO。著書『サッカーと愛国』(イースト・プレス)でミズノスポーツライター賞優秀賞、サッカー本大賞優秀作品受賞。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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