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小さな国際運動会が描いた新しい「地図」

ウクライナ、ベトナムから参加 国・性別・立場……スポーツが境界線を消した

増島みどり スポーツライター

 スポーツでの交流を通してダイバーシティ(多様性)や、共生社会を実現するため、国内に居住する外国人を招いて日本スポーツ協会(JSPO)が主催したイベントが17日、千葉県印西市の順大キャンパスで行われた。イベントは「玉入れ」や「大玉ころがし」「綱引き」といった日本の運動会では定番のプログラムを導入した、いわば「冬のインターナショナル運動会」。ロシアの軍事進攻後にウクライナから来日した避難民も参加するなか、体育館の冷え込みを吹き飛ばすような活気、歓声に包まれた一日となった。

運動会競技を楽しむ参加者たち=JSPO提供

約20人のウクライナ避難民も参加

 都心での開催ができなかったものの、ウクライナと、中国に次ぐ約40万人が在留するベトナム、さらに日本からは地元のスポーツ少年団などを交えた3カ国、約160人が参加(2日目の18日はマレーシアが参加)し、小学生から65歳まで4チームを結成した。「日本ウクライナ友好協会」を代表してあいさつに立ったナタリア・コヴァリョヴァさんが「今、私たちはヨーロッパのど真ん中で、世界でもっとも大きなテロ国家と戦っています。でもウクライナは必ず勝ちます。そしてきょう(の運動会)は、私たちの友好が勝ちます」と強い言葉を発すると、参加者たちから拍手が沸いた。

 この日運動会に参加したウクライナからの避難民は20人となり、ハルキウ、ヘルソンから友好協会の繋がりを頼って脱出した家族もいる。当初はそうした事情から、未経験の運動会には人が集まらないのではとの懸念もあり、日本やベトナム人との混合チームが検討されたという。

 しかし、「避難は何とかできたが、ウクライナ人同士でも、日本の皆さんとも交流できないのは寂しかったのではないか」(ナタリアさん)と、予想を上回る参加者が集まったためにウクライナ単独でチームを結成できた。

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