日本を「世界第3位の軍事大国」にしてはならない
2022年12月26日
いわゆる敵基地攻撃能力の保有や、防衛費の大幅増を明記した安保3文書が閣議決定された。岸田首相は「防衛費倍増」を掲げ、そのための増税を行う方針だという。岸田首相自身、これは「戦後民主主義の大転換」だと称している。そもそも「敵基地攻撃能力」は憲法違反にあたり、それほど重大な決定なのであれば、なぜ国会の議論を尽くさぬまま閣議決定のみで決断を下すのか。民主主義を破壊する暴挙に他ならない。
そもそも交戦権の否定を掲げる平和憲法を保有する日本が、他国を「敵国」とみなすこと自体、異様である。ただし危険なイメージの払拭を志してか、政府は「反撃能力」との言い換えを図ろうとしている。これに抗するため、本稿ではあえて「敵基地攻撃能力」という呼称を用いる。
政府はこれまで、「敵基地攻撃能力」の保持に関して「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、衆院内閣委、伊能繁次郎防衛庁長官=当時)との見解を示してきた。多くの反対の声を踏みにじり、集団的自衛権の行使を容認する「安保関連法」の採決を強行した安倍元首相ですら、「敵基地攻撃能力」は、憲法違反であるという答弁をしている。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください