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「開業医は楽してもうけている」って本当か?~町の小児科医の本音

診察に神経をすり減らし、不安定な収入に不安を感じ、パンデミックにも翻弄され……

松永正訓 小児外科医・作家

大学病院の外来とクリニック診療の違い

 私が大学病院で外来診療をやっていたときは、クリニックの診療と比べると、はっきり言ってずいぶん楽でした。

 外来診療は週に1回。患者数は40人くらい。ほとんどの患者が、小児外科で手術を受けており、術後の経過観察を行うという内容でした。子どもの成長を親とともに喜ぶのが大学病院での外来診療の姿でしたから、その精神的な緊張度はかなり異なります。

 一方、開業医は朝から夕まで、それも1週間を通して急性期疾患を診どおしです。なので、この仕事が楽だと言われると、ちょっとそれはどうかと反論したくなるわけです。

過去16年で4人の小児がんを診断

 もちろん、急性期の患者は感染症だけではありません。うちのような小さなクリニックでも、小児がんの子どもに出会うことがあります。私は過去16年で4人の小児がんを診断しました。

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筆者

松永正訓

松永正訓(まつなが・ただし) 小児外科医・作家

1961年、東京都生まれ。1987年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。小児がんの分子生物学的研究により、日本小児外科学会より会長特別表彰(1991年)を受ける。2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。 『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』で第8回日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞。 『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』(中央公論新社)、『どんじり医』(CCCメディアハウス)、『ぼくとがんの7年』(医学書院)『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書)などの著書がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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