メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

五輪に背を向けて? マラソン新谷仁美が挑む記録とは

18年ぶりの2時間19分台 日本記録に12秒届かずも止まった時計を動かす

増島みどり スポーツライター

 今年で51回大会を迎えた伝統の「ヒューストン・マラソン」が米現地時間1月15日に行われ、東京五輪1万メートル代表の新谷仁美(34=積水化学)が自身5度目のマラソンで、日本歴代2位となる2時間19分24秒で優勝した。

相性良いコースで「楽しんで走った」

 1972年に始まった同マラソンは、ヒューストンの市街地を回る高低差のない高速レースとされ、新谷にとって2020年のハーフマラソンで1時間6分38秒の日本記録を樹立した相性の良いコース。ファンの声援も途切れず、レース後は「苦しさはあったが、応援が背中を押してくれた。終始、楽しんで走ることができました」と笑顔で、優勝者に贈られるカーボーイハットをかぶって見せた。

 野口みずき氏が04年のアテネ五輪で金メダルを獲得した翌年、男女混合レースのベルリンマラソンで作った日本記録、2時間19分12秒の更新を目指し、練習拠点とするクラブ「トゥーラップスTC」の新田良太郎コーチをペースメーカー役に時計との勝負に徹した。序盤から積極的に快走し、中間点は、1時間9分09秒と、野口氏の日本記録の際の通過タイムを上回るハイスピードでカバー。日本人初の2時間18分台を視野に捉える。

記者会見を開いた新谷仁美(中央)、横田真人コーチ(左)、新田良太郎コーチ=東京都港区 2023年1月23日記者会見を開いた新谷仁美(中央)、横田真人コーチ(左)、新田良太郎コーチ=東京都港区2023年1月23日

 しかしペースメーカー役のコーチが不在となった40キロからラスト2.195キロ単独走となったためか、7分28秒(野口氏は7分19秒)とペースが落ち、日本記録には12秒及ばなかった。

 シドニー五輪金メダリストの高橋尚子氏が、女子マラソンで世界初の20分の壁を突破する2時間19分46秒をマークした01年から、日本女子の19分台は4人目。05年の野口氏以降、誰も破れず止まっていた20分突破の時計を、現役ランナーが18年ぶりに動かした。

・・・ログインして読む
(残り:約2511文字/本文:約3240文字)