メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

回転寿司店のイタズラは「必然」、もはや客のモラルには期待できない

赤木智弘 フリーライター

 ここしばらく、回転寿司チェーンでのイタズラ動画が数多く拡散され、大きな問題になっている。

 例を1つ挙げると、「はま寿司」で、高速レーンを走る注文品の寿司に対し、ワサビを乗せるイタズラがあった。動画の拡散を知ったその客がはま寿司に謝罪したが、店側は謝罪を受け入れずに被害届を提出したというから、本気で怒っていることが伝わってくる。

 はま寿司はコロナ禍の時期から感染対策として、回転レーンに寿司を流して客が自由に取る形式から、オーダー品のみを提供するシステムに移行している。店舗によってはいわゆる「高速レーン」のみの店舗もあるそうだ。

 従来の回転レーンと違い、高速ではイタズラがしにくいように思えるが、今回の動画でその余地があることが証明されてしまった。安全性をアピールしたいはま寿司にとっては思わぬ落とし穴があったことになる。

はま寿司の店舗=2022年11月4日、大阪府茨木市イタズラ動画の拡散が相次いだ「はま寿司」

 僕はこのようなイタズラの大量発生は「偶然」ではなく、大きな2つの原因が重なった上での「必然」であると考えている。

承認欲求と、回転寿司店のコスト減

 まず1つは承認欲求を実現するための動画投稿が当たり前になったことだ。

 イタズラ自体はこれまでもあったのだろうが、ほとんどはその場にいる身内同士での悪ふざけとして行われ、それが表に出ることはなかった。

 しかしスマホの普及により自分や友人の行動を気軽に動画や写真に収められるようになり、それをネット上にアップロードすることで注目を得ることが当たり前になった。

 常識があれば、その場の勢いで悪ふざけなどはしないし、多額の賠償という責任が降りかかりかねないことは理解しているだろう。

 しかし、イタズラをする人は気の置けない友達と食事をする中で、その場のウケを狙おうとして常識外れな行為をしてしまい、撮影した人も「友達に面白画像を送る」程度の意識で、気軽に動画投稿サイトにアップしてしまうのである。

flyingv3flyingv3/Shutterstock.com

 そしてもう1つの原因は、

・・・ログインして読む
(残り:約1850文字/本文:約2703文字)