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世界ジュニア優勝の島田麻央は「真央二世」、韓国勢はキム・ヨナの後輩

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 3月3日、カナダのカルガリーで開催されていた世界フィギュアスケートジュニア選手権で、14歳の島田麻央が初タイトルを手にした。

 フリーで3アクセルを成功させ、4トウループはわずかに回転不足という判定にはなったものの片足で着氷。フリー152.76、総合224.54は、今シーズンのシニアも含めた女子のISU(国際スケート連盟)大会最高点で、2位と22ポイント以上の点差をつけての圧巻の優勝だった。

 日本女子としては1990年の佐藤有香、1993年の小岩井久美子、2003年の太田由希奈、2004年の安藤美姫、2005年の浅田真央、2010年の村上佳菜子、そして2016年の本田真凛に次いで、史上8人目の快挙である。

 2位は本大会2年連続銀メダルとなった韓国のシン・ジア、3位には中井亜美、4位がキム・ユジェ、5位がクォン・ミンソルと、トップ5位を日本と韓国勢が占めた。

 昨年12月にイタリアのトリノで開催されたジュニアGPファイナルでも、進出した女子6人は、日本と韓国がそれぞれ3人ずつという顔ぶれだった。

イタリア・トリノで行われたフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)ファイナルで初優勝を果たした島田麻央(中央)。左が2位のシン・ジア(韓国)、右が3位のキム・チェヨン(韓国)=撮影・筆者イタリア・トリノで行われたフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)ファイナルで初優勝を果たした島田麻央(中央)。左が2位のシン・ジア(韓国)、右が3位のキム・チェヨン(韓国)=撮影・筆者

 ロシアがウクライナ侵略戦争の制裁で不参加の現在、ジュニア女子のトップは日本と韓国の2カ国が独占している。

 その理由は、何なのか。

「浅田真央さんは憧れの選手」と島田

 よく知られているように、島田の母親は浅田真央の大ファンだったために、娘に麻央と名付けたという。島田は2008年10月生まれだから、浅田真央が同年3月、スウェーデンのヨーテボリ世界選手権で初優勝したおよそ半年後に誕生したことになる。

 「浅田真央さんは(自分の)名前の由来でもありますし、憧れている選手と同じ位置に立てたことはすごい嬉しいですし、このメダルは自分にとって一番いろんなものが詰まったメダルになったかなと思います」

 優勝会見で浅田と同じメダルを手にしたことについての感想を聞かれると、島田はこのように感想をもらした。

憧れる浅田真央と同じく世界ジュニアのチャンピオンになった島田麻央憧れる浅田真央と同じく世界ジュニアのチャンピオンになった島田麻央

 島田の年齢14歳4カ月は、2005年に14歳5カ月で優勝した浅田真央をわずかに上回る、日本女子として最年少である。

 「憧れの選手を超えられたことがびっくりと、嬉しいの両方です」

 その感想を聞かれた島田は、はにかみながらそう答えた。

 島田麻央は、多くの点で浅田真央と共通するものがある。幼少時から天才少女として注目されてきたこと。ノービス時代から3アクセルに挑戦してきたこと。二人ともバネの良さや体幹の強さなど並外れた身体能力だけではなく、氷によくのった柔らかいスケーティングの天性があることなどだ。

 「浅田真央さんを目標にしているので、真央さんみたいな、見ている人が笑顔になる演技をして、オリンピックや世界選手権で優勝できるような選手になりたいです」

 そう語る島田の今季のフリーは、浅田真央が長年師事してきたカナダの振付師、ローリー・ニコルによるものだ。中盤のコレオシークエンスで、円形を描くスパイラルのはっとさせられる美しさは、フィギュアの表現はあくまで滑りから始まるべきという信念を持つニコルの作品らしい。

 「真央さんの振り付けをしたローリーさんに振り付けしてもらいたいなと思ってお願いしたプログラムです。長いスパイラルはローリーさんのアイデアで、私が一番気に入っている場所です」

ライバルの韓国勢はキム・ヨナの後輩たち

 浅田真央が優勝を果たした2005年の世界ジュニア選手権も偶然カナダが舞台で、オンタリオ州キッチナーでの開催だった。この時の2位は、韓国のキム・ヨナ。二人はその後2010年のバンクーバーオリンピックで、キムが金メダル、浅田が銀メダルと一緒に表彰台に上がり、ジュニア時代からシニアまで激しくトップを競いあった良きライバルだった。

笑顔を見せる浅田真央(左)と金妍児(韓国)2010年バンクーバー五輪で銀メダルを獲得した浅田真央(左)と金メダルのキム・ヨナ(韓国)

 島田が浅田真央を目標にフィギュアスケートを始めたように、韓国のジュニア女子たちは、バンクーバーオリンピック金メダリストのキム・ヨナに憧れてスケートを始めたのだという。

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