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【4】スポーツに「愛のムチ」など存在しない

なのに繰り返される指導者の暴力 土壌の改善は望めないのか

増島みどり スポーツライター

 千葉県でも屈指のスポーツ強豪校、船橋市立船橋高校の男子バレーボール部監督の石井利広容疑者(60)が2月27日、県警船橋署に暴行容疑で逮捕され、学校が緊急会見を開いた。同容疑者は市船の教諭でもあり、昨年11月の部活動中、男子学生がプレー中にミスをしたとして、校内の体育館で上半身裸になるよう指示。さらに髪をわしつかみにして引っ張り回し、至近距離から顔面をめがけて複数回ボールを投げつけた暴行の疑いが持たれている。

経験重視と新しい指導法のはざまで?

 当時、同じ体育館には40人以上の部員と、ほかに顧問2人もいた。部の関係者から警察に直接、暴行があったと相談が寄せられたために、水面下で捜査が行われていたという。ミスをして上半身を裸にした理由は明らかになっていない。

記者会見で謝罪する市立船橋高校の津田亘彦校長(左)と、船橋市教委の松本淳教育長=千葉県船橋市 2023年2月27日記者会見で謝罪する市立船橋高校の津田亘彦校長(左)と船橋市教委の松本淳教育長=2023年2月27、千葉県船橋市

 同校の津田亘彦校長は、「いわゆるレシーブ練習で、あっちこっちにボールを散らす練習をしたときに、それは厳しいんじゃないのか、という声が(周囲から)聞かれた。本人(石井教諭)が、こういう練習も厳しいといわれたら、バレーで鍛えることは難しくなっている時代なんですね、と、私に話したことはあった」と、同教諭が自らの経験値による指導方法と、新しい指導法のはざまで、困惑する心境を吐露していた様子を会見で明らかにした。

 同校は、1990年の春高バレーで優勝、インターハイで上位の成績を残すなど強豪校として知られ、県大会での優勝は49回にものぼる。石井教諭は、県のバレーボール強豪校で知られる習志野市立習志野高から法政大に進学。大学ではセッターとして活躍し、1985年に同校の実習助手として市に採用され、88年には社会科教諭として本採用となった。85年にはバレーの競技歴を評価され顧問に就任しており、97年からは監督を務めてきた。

第21回全国高校バレーボール選抜優勝大会男子決勝 市立船橋(千葉)-東北(宮城) 第1セット、市立船橋・飯田がフェイントを決める=1990年3月25日、東京都渋谷区の代々木競技場第21回全国高校バレーボール選抜優勝大会(春高バレー)男子決勝の第1セット、市立船橋がフェイントを決める。対戦相手は東北(宮城)=1990年3月25日、東京都渋谷区の代々木競技場

異動もなく1校で三十数年にわたる指導

 85年の助手採用以降、人事異動はなかったという。

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