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統一地方選を「国政の論理」に埋もれさせるな

ローカル線廃止問題に揺れる北海道知事選を例に

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

 4年に1度の統一地方選が3月23日、9道府県の知事選が告示されて始まった(投開票は4月9日)。北海道道の知事選には、いずれも無所属で、新人で建設設備業の門別芳夫氏(61)、現職で再選を目指す鈴木直道氏(42)=自民、公明両党、新党大地推薦=、新人で元衆院議員の池田真紀氏(50)=立憲民主党推薦、共産党道委員会、国民民主党道連、社民党道連、市民ネットワーク北海道支持=、新人で元美容師の三原大輔氏(48)の4氏が立候補を届け出た。

 選挙戦は現職の鈴木氏と新人の池田氏の争いが軸になるとみられ、池田氏に主要野党の支援が一本化されたことで事実上の与野党対決となった。今回の知事選で自民と立憲の対決型となるのは北海道のみであり、「国政の論理」による性格から全国的にも注目を集める。しかし、北海道にはさまざまな課題が山積しており、今回の選挙で地域課題に根差した政策論争が置き去りになることに対して、強い危惧を覚える。

支援者が手を振る中、候補者の第一声を聞く人たち=2023年3月23日午前9時29分、札幌市、角野貴之撮影北海道知事選で候補者の第一声を聞く人たち=2023年3月23日午前9時29分、札幌市

具体的な政策の違いが見えにくい地方選

 「保守現職VS野党統一候補」という対立構図が鮮明となった北海道知事選は、今回の統一地方選の知事選において全国で数少ない与野党の直接対決となっている。周知のとおり、岸田政権は「防衛費倍増」「原子力増設」といった強権的ともいえる路線を鮮明にしており、野党や市民との対立構造は明確になっている。したがって、衆院解散・国政選挙ともなれば、国論を二分する問題において政府・与党との直接対立を打ち出す選挙戦略は、ある程度有効なものになりうる一方で、統一地方選は、その性格上、自ずと地域的な課題が中心となり、政党色よりも候補者個人の経歴や人柄を軸に有権者に訴える戦略が採用されがちである。

 今回の北海道知事選においても、保守系現職の鈴木氏と、野党候補の池田氏の北海道政に対する両者の間には明確な政策対立があるというよりも、むしろ、候補者の経歴や人柄が有権者の選択に大きく関わっているといえる。

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