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ウズベキスタン女子サッカーを五輪1次予選突破に導いた日本人監督

選手・指導者としての豊富な経験で強化 海外から見た「なでしこ」の現在地とは

増島みどり スポーツライター

 4月18日、日本女子サッカー界のレジェンドで、女子指導者の道をも切り開いてきたパイオニア、本田美登里監督(58)がオンラインの記者会見に登場した。

 現在、日本サッカー協会の国際交流・アジア貢献活動の一環でウズベキスタンの女子代表監督を務め、同国のタシケントに住む。このほど、来年のパリオリンピックのアジア1次予選で、ヨルダン、ブータン、東ティモールとのA組を突破し、10月に予定される2次予選に進出。就任から1年2カ月での快挙に、日本サッカー協会も敬意を表して、タシケントからのオンライン会見が急きょ行われた。

 監督は、「いちばん大きなミッションだった1次予選を突破したことはほっとしています。代表選手を選出しているのに本人が合宿に来ないとか、練習当日のグラウンドがないとか、本当にドタバタでしたが、最終的に勝ててほっとしています」と、2度も「ほっとした」と心境を吐露して安堵の表情を浮かべた。

ウズベキスタンFA公式SNSより選手に指示を出す本田美登里監督=ウズベキスタンFA公式SNSから

35年前の自分たちに重なった環境

 昨年2月に赴任した当初、女子代表には規律も徹底されておらず、練習時間どおりに集まる選手のほうが少なく、朝食も平気で抜いてしまう。練習に行けばグラウンドがダブルブッキングされていて練習できず、ケガをした選手たちそれぞれの症状や回復状況も報告されてこない。現在の日本では考えられないような状況に「一体どうなってんの?」と戸惑った。

 会見中、「今のウズベキスタンの状況は、35年前の日本と似ている」と表現した。監督自身が現役として乗り越えた1980年代、90年代に、現在のウズベキスタンを重ね合わせたのは、環境の比較ではなく、「期待」についてたとえようとしたからではないか。

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