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政府はより具体的な「日米関係」の将来像を

水田愼一

水田愼一 水田愼一(三菱総合研究所海外事業研究センターシニア政策アナリスト)

 「外交政策は政策評価になじまない」。そういう意見を聞くことがある。

 外交はその時々の国際情勢の変化に柔軟に対応しなければならないし、その時々に取った行動が中長期的にどのような結果を招くのかを予測するのは難しい、とりわけ公共事業のように数値化してその成否を判断するのは難しい面もある。しかし、だからといって明確な目標を定めずに曖昧なままで外交が行われて良いわけではない。特に、政党がマニフェストという形で国民に真を問う以上は、外交政策についても、その目標は明確で、実践の成否が一般国民から客観的に判断できるものでなくてはならないだろう。

 参院選に向けて6月17日に民主党が発表したマニフェストは、その意味において、昨年衆院選時のマニフェストから改善が見られると筆者は考える。例えば、今回のマニフェストでは、前回のマニフェストには無かった項目で具体的な成否が判断できる新しい項目がいくつか加えられている。例えば、政府開発援助(ODA)について、「質・量ともに強化」するとしている。質の強化の判断は容易でないが、量については金額が増えていれば公約は守られていることが誰の目にも明らかである。また、「防衛大綱・中期防衛計画を本年中に策定」する、「防衛装備品の民間転用を推進」という項目は、策定されているか否か、転用が進んでいるかどうか、といった尺度で判断できる。

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