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ロシアにはようやく勝ったが――相変わらず配慮足りない米情報機関

春名幹男

春名幹男 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)

 東西冷戦は米国の勝利で終わり、ソ連は崩壊した。だがスパイ戦争では、米国はソ連に完敗していた。

 冷戦終結から約20年。今度はロシアが仕掛けたスパイ戦争で米国が勝利した。しかし、米情報機関はまだ歴史が浅い。対イラン情報工作でボロを出してしまった。

 6月から米国で相次ぎ発覚した奇妙なスパイ事件は、そんな結論が出せそうだ。

 1994年と2001年に発覚した歴史的なスパイ事件で米国は大恥をかいた。

 「CIA(米中央情報局)史上最大のスパイ事件」とも言われたCIA元対ソ防諜部長リック・エイムズ被告(終身刑で服役中)。

 旧ソ連・ロシアから計250万ドル(約2億2000万円)の報酬を受け取って、極秘情報を旧ソ連・ロシア側に引き渡していた。

 エイムズ受刑囚が旧ソ連国家保安委員会(KGB)とその後継機関に流した情報で、ロシア内の10人の米国スパイが摘発され、処刑された。旧ソ連側はオトリのスパイを通じて偽情報を流し、旧ソ連軍事力が実体以上に強大だと思わせることに成功していた。それを真に受けたレーガン政権の大幅核軍拡とそれに伴う巨額の財政赤字はKGBの勝利と言えるだろう。豪邸に住み、高級外車に乗るエイムズの不審な行動を上司は見逃した。

 また元FBI(米連邦捜査局)ベテラン捜査官ロバート・ハンセン受刑囚(終身刑で服役中)の事件は「FBI史上最悪のスパイ事件」。現金約140万ドル(約1億2000万円)をもらい、旧ソ連・ロシア側に米国の対ロシア諜報担当者の氏名を漏らしていた。極度に慎重な行動で諜報員とは絶対に直接会わず、15年間のスパイ活動はばれなかった。

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筆者

春名幹男

春名幹男(はるな・みきお) 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)

1946年京都市生まれ。大阪外国語大学卒。共同通信社ニューヨーク支局、ワシントン支局、ワシントン支局長。名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授をへて、現在、早稲田大学客員教授。ボーン・上田記念国際記者賞・日本記者クラブ賞受賞。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『秘密のファイル―CIAの対日工作』(共同通信社)など。

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