谷田邦一
2010年08月05日
この夏、日本の航空機業界の悲願ともいえる国産の戦闘機開発の夢が、実現に向けて一歩前進しそうだ。米国との共同開発に甘んじた1980年代のFSX(次期支援戦闘機)選定では、自前のエンジン開発能力がなかったことが決定的な敗因となった。その教訓から学ぶこと20年余。防衛省は今の主力機F15の後継選定(FXX)を視野に、いよいよ欧米と並ぶ高性能・高出力の戦闘機用エンジンの研究に乗り出すことになる。
日本の主力戦闘機は、F86からF15まで一貫して米国製が続いてきた。
80年代後半、支援戦闘機F1の後継機(FSX、現在のF2)で初めて国産化をめざしたものの、米側からエンジン技術の提供を拒まれあえなく挫折。米国のF16を母体に共同開発へと方針転換した経緯がある。
防衛省はこの教訓をもとに、90年代初めから戦闘機の自主開発に向けた研究に取り組み始めた。むろん「秘めた目標」(防衛省幹部)が公に説明されることはなく、長く伏せられたままだった。
戦闘機に必要な技術分野は、大きく分けて(1)高運動・制御システム(2)アビオニクス(航空電子機器)(3)機体構造(4)エンジンの4つ。同省は技術研究本部(技本)を中心に各分野の研究をバランスよく進めてきた。
90年から2010年までの20年間に投じた経費は、総額で約2110億円にものぼる。
同省がとりわけ力を入れてきたのがエンジン研究だ。
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