高成田享
2010年08月06日
歴代の米国駐日大使は、広島や長崎の原爆記念施設を訪れているという。しかし、今回のルース大使の場合は、原爆記念日の式典に大使として初めて参列するわけで、その意味は大きいうえ、11月に横浜で開かれるAPEC首脳会議にあわせて来日するオバマ大統領が広島を訪問する可能性を高めるものと思う。
多くの日本国民から見れば、米国の原爆投下は、軍事施設の破壊よりも民間人の大量殺戮を狙った人道に反する行為であるし、多くの米国民から見れば、戦争の早期に終わらせ米兵や日本国民の犠牲を低く抑えた必要悪ということになる。だから、ルース大使やオバマ大統領から「謝罪」の言葉を得ることは難しいし、そのことに固執すべきだとは思わない。しかし、核のボタンを握る大統領に、原爆の被災地を見てもらうのは、戦争で再び核兵器を使用させないという点で大きな意味があると思う。大使にはこの機会に大統領の広島訪問に向けて動いてもらいたいと思う。
オバマ大統領は昨年のプラハでの演説で、米国は核兵器を使ったことのある唯一の核保有国として、核兵器の廃絶に向けて行動する「道義的な責任」があると述べた経緯がある。この演説がノーベル平和賞を受賞する根拠のひとつになったはずで、大統領自身も広島訪問を義務と考えていると思う。
ハリウッド映画を見ていると、核兵器が使用される場面がよく出てくる。
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