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有権者に問う! 新議員会館は本当に「ゼイタク」?

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 新聞でも、テレビでも、国会議員が引っ越した新しくできた「議員会館」が話題だ。どちらかというと、「ゼイタクだ」「豪華すぎる」など批判的な論調が多いようだ。確かに、無駄の造りもある感じだ。

 他方、「これまでの議員会館の事務所は狭すぎた」「IT環境も古く、時代に対応していなかった」という意見も多い。また新議員会館は「シックハウス」の可能性の問題もおきている。

 私の個人的な経験からしても、古い議員会館はあまりに狭く、設備も老朽化しているという感じだった。政策活動を積極的におこなう議員や、当選回数を重ねた議員であれば、それだけ余計に資料に埋もれ、人に埋もれているという感じだった。来客があれば、スタッフは執務の場所がなくなることも多く、来客が多い場合は事務所の外で待ちの状態。とても日本の行く末を真剣に考え、新しい政策を生み出したりできるような場所でなく、まともな仕事ができる状態ではなかった。

 私は、従来の議員会館やその中の議員事務所は、ちょっと極端ないい方をすれば、議員に政策活動や立法活動をさせず、政策づくりで官僚依存せざるを得ない仕組みの一つだと考えていた。つまり、政治主導や民意で選ばれた議員に仕事を「させない」ためのインフラであったのではないかと思う。より踏み込んでいえば、日本は民主主義の社会といわれながら、実は民主主義を支えるインフラや仕組みが不十分で、旧議員会館はその不十分な日本の民主主義の象徴であったと思う。

 本来なら、議員会館も、日本の政治制度である民主主義を担保するインフラでなければならないはずだ。このような観点から、これまで考えてこられたことはあっただろうか。ほとんどなかったように思う。他方、議員会館の建て替えがあったが、その設備の実態をみると、今回もこのような観点を踏まえておこなわれたとは思えない。

 ここで、よくよく考えてほしい。このように考えていくと、新議員会館に関してまず問われるべきことは、「ゼイタクだ」とか「狭い」とか「広い」「狭い」とかではないということだ。考えるべきことは、それが誰のためのものであり、何をするところかということではないか。 ・・・ログインして読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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