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 「経営の神様」と呼ばれたあなたが大阪・枚方の病院で94歳で亡くなられたのは、今から21年前の1989年4月のことでした。当時、大阪の経済界を担当していた私は、あなたの残した足跡の大きさを痛感したのを覚えています。

 あなたは経営者時代から改革の構想を発表するとともに、晩年、神奈川県茅ヶ崎市に松下政経塾を創設し、政治家の養成に乗り出しました。

 弟子である政治家たちを通じて、自らの構想を実現させる年は「2010年」。そうあなたが考えていたことを最近手に取った本から知りました(樽床伸二「我が師、松下幸之助」PHP研究所)。著者の樽床氏は、松下政経塾3期生の民主党国対委員長です。

 それによると、あなたは松下グループの老幹部に「ぼくの思っているようなすばらしい日本に、なんとしてでも実現したい。そのためにはこれから30年はかかる。それで2010年にしたんや」と語ったそうです。

 2010年の光景を見て、あなたはどう思われるでしょうか。

 すでに松下電器産業という社名は「パナソニック」に変わり、吸収合併した「サンヨー」のブランドも消えることになりました。寂しく感じられるのではありませんか。

 しかし、政治に関する限り、あなたの慧眼に感服せざるをえません。 ・・・ログインして読む
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筆者

脇阪紀行

脇阪紀行(わきさか・のりゆき) 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

1954年生まれ。79年に朝日新聞社に入社、松山支局などを経て大阪本社経済部に。90年からバンコクのアジア総局に駐在。米国ワシントンでの研修を経て97年からアジア担当論説委員。2001年からブリュッセル支局長。06年から論説委員(東南アジア、欧州など担当)。2013年8月末に退社、9月から、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム特任教授。著書に『大欧州の時代――ブリュッセルからの報告」(岩波新書)、『欧州のエネルギーシフト』(岩波新書)。

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