藤原秀人
2010年08月14日
菅直人首相の韓国併合100年談話は、併合が韓国の人々の「意に反した植民地支配」だったと強制性を率直に認める一方で、併合条約の無効性には言及しなかった。だから、韓国の世論は「一歩前進」という評価をしながらも、今後の日本の行動を注視するという、予想された反応だった。
しかし、併合100年という大きな節目にしても、韓国だけに向けて日本の首相が歴史をめぐる談話を発表したのは、日韓が領有権を争う竹島(韓国名・独島)に関する記述が韓国世論を刺激しかねないと防衛白書の発刊を先送りしたのとあわせると、政府が韓国との関係をこれまで以上に重視していると受け取らざるをえない。
確かに、哨戒艦沈没事件を例に引き出すまでもなく、日本が北朝鮮情勢に対応するには韓国との協調は欠かせないし、それは日米韓という2国間同盟をベースにした安全保障協力の枠組みを維持するためにも必要である。
とはいえ、アジア諸国へのおわびを表明した1995年の村山富市首相談話や2005年の小泉純一郎首相談話が出された経緯を振り返れば、韓国以外の人々からすれば今回の首相談話は納得しがたい。
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