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「機密費」の現制度は廃止を 大幅減額し、情報予算は別に

春名幹男

春名幹男 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)

 内閣官房機密費に対する国民の怒りは非常に強い。多額の金が「機密」の名目で一体何に使われているのか、全く分からないからだ。

 自民党政権で官房長官を務めた野中広務氏は、機密費を首相や自民党国対委員長らに月々渡したほか、政治評論家や野党議員にも配ったと暴露した。また鈴木宗男元官房副長官は1998年の沖縄知事選挙で自民党が推薦した稲嶺恵一氏(当選)に3億円を渡したと証言した。

 国際会議や交渉に出席する政治家らへの餞別、飲食などに使われたとの報道や、政治記者に渡した、という話もある。

 この問題は、93年の細川非自民政権の成立時、2001年の元外務省要人外国訪問支援室長による機密費流用事件の際、そして今回の政権交代、と3回にわたり表面化した。だが、抜本的改革はいまだ全くできていない。

 政府側の立場はある意味で一貫している。国内外の情報収集や、海外で邦人が巻き込まれた事件の非公式交渉などで、官房長官の政治的判断で支出する、としてきた。8月中旬大阪地裁で行われた使途公開請求訴訟でも、担当官僚の千代幹也内閣総務官(当時)が国側代理人として証言、「必要な情報収集や協力依頼に使う経費」と説明した。

 それでは、麻生元内閣が昨年8月30日の衆院選で惨敗した直後の9月1日に2億5千万円も支出したことはどう説明するのか。政権を去る首相らが、国家安全保障にかかわる情報収集に金を必要とするというのだろうか。

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