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民主党代表選の「候補者評価票」――メイキング・オブ・総理大臣の観点から

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

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 議院内閣制の日本では、多数をとる与党の代表が、総理大臣になるのが一般的だ。その意味で、来る9月の与党民主党の代表選は、実質日本の総理大臣を決める重要な選挙である。

 それは、民主党の内部選挙なので、多くの有権者・国民は参加できない。しかし、それは実質上の日本の政治トップを決定するものなので、われわれ国民が、民主党代表選の候補者および選ばれた代表が本当に、その職に相応しい人材なのかをチェックし、考えることは意義のあることだ。それが、総理大臣をどのようにつくりだしていくかという議論にもつながる。

 そこで、本稿では総理大臣に必要な資質・能力などについて考えたい。

●政策ニーズの変化に応えるには!

 これまでは、中央省庁が、企業戦士の男性と専業主婦の女性という夫婦関係に支えられた終身正規雇用と年功序列が主流の企業が属する業界団体との関係に基づけば、多くの国民の益にかなう政策をつくれた。

 日本は、高度成長を実現し、豊かになった。そこでは、更なる豊かさや自分の価値観に対する、国民の考えや意見が多様化し、中央が一方的に決めるだけでは、国民の多くの同意が得られにくい状況が生まれた。また、高齢者が増え、多くの女性が仕事をし、非正規社員の増大など、大きな社会的変化も生まれてきた。

 このことは、従来の政策形成のやり方では国民の政策ニーズを十分に捉えられないこと、また国民の政策ニーズの多様化と変化の把握方法が変わる必要があることを意味する。つまり政策マーケッティングなどによるきめ細かな有権者把握が必要であり、各選挙区の状況に応じた政策発信がないと、いい政策をつくっても、国民に届かないのだ。

 国民は、自分たちの考えが、政治や政策に結びつくことを認識していず、政治への関心が低いことも多い。それは、政治が、国民に理解できる時代に即して共感されうる言葉や表現方法を十分にもっていないこと、今後そのような言葉や表現手法を見出す必要があることを意味している。

●社会変化に伴う政治リーダーの必要とされる資質

 1980年代の終わり以降、ベルリンの壁の崩壊に象徴される東西冷戦の終結とそれに伴うグローバル経済の広がりなどの大きな時代変化を受けて、日本国内でも、その変化に対応できるように中央省庁改革、政治・官邸主導、二大政党制、政権交替などの政治や政策形成におけるシステムの改革や改変が叫ばれ、その一部が実現してきた。このため、政治や政治リーダー(特に、総理)に求められる資質も大きく変化している。

 まず重要なのが、予測できない危険である不確実性の中で決断できる能力だ。最先端で先が読めない中での決断ができる資質が必要だ。

 次に重要なのが、リサーチ・リテラシーだ。 ・・・ログインして読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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