高成田享
2010年09月14日
冷戦終わりが歴史の終焉とならず、民族対立や宗教対立を激化させ、世界のあちこちで戦争や大規模なテロという新たな歴史を作っているのは、歴史の皮肉であり復讐ということになる。
米のコーラン焼却や仏のブルカ禁止は、冷戦後の歴史の混迷の茶番劇だが、犬のしっぽが頭を振り回すがごとき現象は、ネットを含めた多メディアによる情報拡散の時代には、十分に起こり得る倒錯現象で、それだけに茶番だと笑ってすませる問題ではなくなっている。
こうした冷戦後の混乱の背景にあるのは、グローバリゼーションの流れに沿った市場経済の浸透のなかで、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなるという冷徹な摂理だ。
そうなると、負け組となった貧困層や貧困国の怨念が勝ち組となった富裕層や富裕国に向かうのも必然で、その攻撃目標は勝ち組の象徴である米国や多国籍企業になり、攻撃の論理は神のもとでの絶対的な平等や秩序を説く宗教の原理的な解釈ということになる。
貧者の攻撃をかわすには、
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