後藤謙次
2010年10月07日
民主党の小沢一郎元代表に東京第五検察審査会は起訴相当の議決を行った。おそらく小沢氏にとって想定外の議決だったに違いない。小沢氏は民主党代表選に敗れたとはいえ、国会議員票で206人の菅直人首相と拮抗する200人の支持を集めた。さらに代表選を通じて小沢氏に付きまとった暗いイメージが払しょくされつつあった。このため小沢氏は周辺に捲土重来を期する発言を繰り返していたようだ。それは取りも直さず小沢氏が検察審査会の決定を経て政治に全力投球できる環境が整う、との読みがあったからにほかならない。
その期待が失望に変わったのが今回の議決だ。憤懣やるかたないに違いない。しかし、政治家である以上、現行のシステムを否定するわけにはいかず、「議決は誠に残念」とのコメントを出すのが精一杯だった。
そこで今後の展望だが、小沢氏に残された選択肢はほとんどないに等しいのではないか。当面の「裁判闘争」に加え、「政治闘争」も同時並行的に取り組まねばならない。そこに小沢氏には「時間の壁」が迫る。68歳の小沢氏にとって「時間」が最大の敵だ。裁判長期化も考慮すれば小沢氏はますます厳しい局面に追い込まれる。
それでも小沢氏に関して、田中角栄元首相のような「闇将軍」として、今後とも政界全体に大きな影響力を維持するとの見方が根強くある。しかし、結論から言えば否であろう。田中元首相と小沢氏が置かれた状況は決定的に異なるからだ。田中氏は
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