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黄海海戦ふたたび? 海上自衛隊vs中国海軍

谷田邦一

谷田邦一 朝日新聞専門記者(防衛問題担当)

 日本と中国にはかつて壮絶な艦隊決戦を交えた歴史がある。1880年代、「東洋一の艦隊」と呼ばれた中国海軍は、ドイツから購入した7千トンを超す最新鋭の軍艦「定遠」「鎮遠」2隻を保有していた。長崎や品川などに寄港しては、世界最大級の艦砲や厚い装甲を備えた威容を見せつけた。日本の最大艦はまだ3千数百トンそこそこだった時代。高まる脅威に備え、明治政府は軍艦の大建造計画をおしすすめ、日清戦争で中国を圧して制海権をにぎった。

 日本の連合艦隊と清朝の北洋艦隊が衝突したのは、1894年の黄海海戦。双方あわせて20数隻の艦艇が鴨緑江の河口沖で対峙し、死傷者は1千人以上にのぼった。勝敗を決したのは、艦艇の速さや艦砲の多さなどの技術力と操艦技術の優位だったとされる。

 もし現代の黄海海戦が起きるとすれば、どのような展開になるのだろう。相互依存が高まる一方の日中間で、近い将来、本格的な武力衝突が起きることはまず考えられない。しかし双方の海軍の担当者たちは日々、そうした不測の事態を想定して互いの兵力整備を進めているのは間違いない。ここはそうした視点でとお断りした上で、敢えて架空のシナリオに踏み込んでみた。

 沖縄本島の南西約130キロの東シナ海――。中国の8隻の艦隊が太平洋に向けて航行していた。時刻は正午すぎ。ロシアから購入したミサイル駆逐艦や最新のフリゲート艦を中心に、長期の訓練に備え補給艦や救難艦も同伴している。どうやら海面下には2隻の潜水艦がひそんでいるようだ。

 その動向を監視するため、海上自衛隊の護衛艦から飛び立った艦載ヘリコプターが哨戒飛行していた時のことだ。とつぜん中国の艦載ヘリコプターが、襲いかかるように接近した。2機は上空で接触、もみ合うようにしてともに洋上に墜落し水没してしまった。 ・・・ログインして読む
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筆者

谷田邦一

谷田邦一(たにだ・くにいち) 朝日新聞専門記者(防衛問題担当)

1959年生まれ。1990年、朝日新聞社入社。社会部、那覇支局、論説委員、編集委員、長崎総局長などを経て2013年4月から社会部専門記者(防衛問題担当)。主要国の防衛政策から最新兵器、軍用技術まで軍事全般に関心がある。防衛大学校と防衛研究所で習得した専門知識が、現実の紛争地でどのくらい役立つのか検証取材するのが夢。

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