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 政府が国益を考えて秘匿あるいは公開制限している情報を公務員が漏らせば国家公務員法違反になるのは明らかです。犯罪に値するような情報ではない、という議論もあるようですが、それは情状酌量の議論であって、公務員法違反の要件の議論だとは思いません。議論すべきは、この犯罪行為が、その時点での政府の意志に反しても、国民にとっての利益になるかどうかという点で、投稿したとされる海上保安官も「確信犯」であるのなら、この議論をすべきだと思います。

 ところが、保安官は「罪の意識はない」と語っているようで、「保安官ならだれでも見られた」という論理で、これが公務員法違反に当たらないなどと考えているとしたら、この保安官は公務員としての自覚が足りないし、組織としての法令遵守教育の怠慢だと思います。真実を知らせる、というのが投稿の動機であるなら、ビデオに真実の暴露という秘密性があると保安官が認識していたからで、秘密性がないから、などとかばう評論家は、自己矛盾に陥っています。

 政府の不正を暴くという動機であるのなら、新聞社やテレビ局などのメディアで、その旨を伝えるべきで、投稿では、投稿者の意志が伝わるとは思いません。仮に、この映像が新聞やテレビメディアから流され、そこに情報提供者の意図、その情報についての真偽、さらにメディアによる解説がついていれば、少なくとも国家公務員違反が最大の焦点になることはなかったし、保安官に対する国民の支持も、もっと多かったと思います。

 というような観点から、この海上保安官の行為は、

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筆者

高成田享

高成田享(たかなりた・とおる) 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

1948年、岡山市生まれ。71年に朝日新聞社に入り、経済部記者、アメリカ総局長、論説委員などを経て、2008年から石巻支局長。この間、テレビ朝日系「ニュースステーション」キャスターも経験。2011年2月に退職し、仙台大学教授。東日本大震災後、復興構想会議の委員を務める。主な著書に『ディズニーランドの経済学』(共著、朝日文庫)、『こちら石巻 さかな記者奮闘記――アメリカ総局長の定年チェンジ』(時事通信出版局)、『さかな記者が見た大震災 石巻讃歌』(講談社)など。

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