菅沼栄一郎
2010年11月23日
菅直人内閣の支持率が27%に急落した。
と伝える記事のなかで、おやっ、と思った記述がある。
衆院の解散総選挙を「急ぐ必要はない」が60%。「できるだけ早く実施すべきだ」の31%を大きく上回っていたのだ。これはどういうことか。
民主党内閣に愛想を尽かしたのなら、再び政権交代を、という世論の流れになってもおかしくはない。もう一度自民党に、あるいは、今度こそみんなの党を中心にした政界再編をといった展開を求めるなら、いっそ解散を、となるのが普通だろう。
待てよ。ここで内閣を代えても、どれだけ世の中が変わるのか。そんな、あきらめにも似た「期待値の低さ」が、こうした世論の動向に、感じられないだろうか。
5年間続いた小泉政権以降、安倍、福田、麻生、そして政権交代をはさんで鳩山と、私たちは「日替わり定食」ならぬ「年替わり内閣」を経験してきた。この間、何が変わったのか。首相を代えて、政権を代えて、何を得ることができたのか。
実は、しばらく前から、政権党は「利益を配分」することができにくくなった。成長時代には公共事業や補助金をはじめ拡大するパイをばらまいていれば政権を継続できた。が、人口が減り高齢化が進んで生産人口が縮む中で、政権党はもっぱら「痛み=負担の配分」を国民に説得する損な役回りに変わった。初めから消費税の引き上げを言い出した菅首相に限らず、どの首相の顔も3カ月とたたないうちに疫病神に見え始めるというのが、マイナス成長時代の首相の運命になりつつあるのではないか。
他方で、
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