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国益に直結する外交に「迷走」は許されない

若林秀樹

若林秀樹 若林秀樹(アムネスティ・インターナショナル日本事務局長)

 民主党政権の迷走は、外交面で言えば、ひとえに日米関係という最も重要な外交の座標軸を動かしたことによって招いた結果だと言えよう。まさにそれに尽きる。もちろん座標軸は状況によって変えていくことは当然である。しかし、変化させることによって生じる影響を深く考えず、またその影響を踏まえた新たな総合的な外交戦略を描き実行できる力がなければ、迷走するのは当然の成り行きなのである。

 では民主党の外交政策は未熟で、自民党のそれが優れていたかといえば、必ずしもそうとは言えない。今日の状況は、自民党が長年にわたって戦後外交に胡坐をかいてきたツケも大きい。民主党は、米国依存の戦後外交から決別し、新たな外交戦略を構築しようとした意欲は評価できないわけではない。まっとうな政治家であれば、主権国家としての日本の外交を真剣に考えれば考えるほど、政党やイデオロギーに関係なく、米国に過度に依存した戦後のいびつな外交政策を是正したいという意欲に駆られるのは当然なのである。しかし意欲や理想だけでは、現実の外交には通じないことも事実であり、国益に直結した外交では、ならし運転の1年間などと、安穏として許される状況にはないのである。

 振り返れば民主党は、二大政党の一翼を担う政党として、自民党とは違う新たな外交政策の基軸を打ち出すことに意識しすぎていた。国会でも、政局がらみの対応が目についた。しかし野党であっても、特に外交は政策の継続性が重要であり、政局がらみで与党との違いを際立たせることが目的になってはならない。しかし結果的には、現行政策のプラス面を軽視し、戦後外交の矛盾や欠点の指摘、基地問題等に対する国民感情を受け止めることに終始し、それが民主党の外交政策の主軸になった点は否めない。

 その一例が「普天間基地の県外・海外移転」ではあるが、もともと実行できる展望を持っていたわけではないにもかかわらず、沖縄県民の期待を煽り、その上で失望させた罪は大きい。むしろ

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